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トミックス 小田急ロマンスカー7000形「LSE」新塗装 レビュー

2020年1月、トミックスより小田急ロマンスカー7000形「LSE」(新塗装)が発売された。

●98687 小田急ロマンスカー7000形LSE(新塗装)セット 18,700円
(税抜き表示)

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7000形「LSE(Luxury Super Express)」は公式的にはロマンスカー3代目にあたる。「NSE」の1963年から17年ぶりの1980年に登場したが、その後のロマンスカーがおおよそ数年程度で新型が出ていることを考えると、かなりスパンが空いたことになる(そう考えると、現在最古の「EXE」が大規模リニューアルしている最中なので今後10年以上は走るだろうし、「GSE」の次は長くなりそうではある)。

前面展望室、連接構造の11両編成、塗装と先代の3100形「NSE」のキープコンセプトで、それをモダナイズしたような車両となったが、「SE」「NSE」にあった軽量、低重心構造といった高速化志向は鳴りを潜め、一般車並みの床下高さとなり速度よりも快適性を重視する方向となった。「NSE」が登場した当時と比べ沿線利用客は急増、「LSE」が登場した頃は過密ダイヤとなっていたし、複々線化は計画はあったものの当時は代々木上原~東北沢だけが複々線で他は工事すら始まっておらず、高速化どころではない環境で無理はなかったといえる。

4編成が揃い後継車両が出ても自社線内の特急として幅広く活躍。1996年に身障者設備設置などのリニューアルが行われ「HiSE」に準じた「新塗装」となったが、2007年に1編成が、最終的に残った2編成はすべて旧塗装に戻され新塗装は姿を消した。2018年に70000形「GSE」登場に伴い「LSE」は引退したが、ノーマルデッキで身障者設備もあったことから、小田急車としては後継の「HiSE」「RSE」よりも長生きした結果となった。

さて、模型の世界では「LSE」のNゲージ製品はトミックスから発売されたが、ガレージ製品を除いた一般的な量産品としてはロマンスカー初のNゲージ製品である。1981年発売と、実に40年近い歴史を持つ(筆者は当時小学生である)。現在でこそロマンスカーはすべての形式(それこそ「SE」より前の車両でさえ)が製品化されているが、先輩の「SE」「NSE」がマイクロエースが発売されたのは2000年代に入ってからの話だから、その発売時期の早さは突出している。トミックスが私鉄特急のラインナップを増やしていた時代、当時最新鋭だった「LSE」を選択したのだろう。おそらく連接車としてもNゲージ初で、スナップ式の連結方式が珍しくて特徴的だったのを覚えている。

一番最初の製品は時代的なものもあるが、両ヘッドライトとヘッドマークが一体のクリアパーツで構成、間の塗装はステッカー表現、点灯は緑色LEDのヘッドライトとヘッドマークのみでテールライトは非点灯、窓枠も印刷塗装なし、床下機器もグレー(実車は黒)というものだった。

しばらくこの仕様でカタログに載っていたが、2005年に身障者対応のボディを新規制作した新塗装が発売、ヘッドライトとヘッドマークまわりの構成が見直されテールライトも点灯するようになった第2世代となり、2006年には登場時の旧塗装が発売された。その後、2013年に前述の1編成のみ旧塗装になった編成の製品、2016年に旧塗装のブランドマーク付きが発売となり、実車引退後の2019年にはラストラン仕様が発売。ヘッドライトとヘッドマークまわりがさらに改良され、先頭車の車高も見直された第3世代となった。

そして2020年1月に発売されたのが、今回紹介する「LSE」の中でも1996~2012年の姿である新塗装の製品である。前述のラストラン仕様はいろいろ改良されたことは知っていたけど、「ラストラン」には特に興味はなかったのでスルーしていた。通常仕様が出るならまあ、という感じだったが、言っても所詮40年近く前の製品だし・・・と、トミックス「LSE」はノーマークだった。ところが、ある時読者様より新しい「LSE」について聞かれ、その流れでいつの間にか新塗装が発売されたことを知ったのである。出とったんかワレ!と。そして購入、レビューと相成ったわけである(コメントをいただいた読者様、ありがとうございます)。

基本的には40年前の最初期製品がベースで見直し箇所は前面および先頭車に集中しているから、今回は主に御顔を中心としたレビューになる。

ついでに、ちょっとした資料としてこれまで発売された製品をまとめておく。4編成すべてが製品化されたことがわかる。

1981年 7001F 最初期製品 登場時の姿
2005年9月 7003F 第2世代 新塗装、身障者対応車、シングルアームパンタ
2006年10月7002F 第2世代 登場時の姿
2013年3月 7004F 第2世代 ロマンスカー50周年の復活旧塗装(前面窓枠が黒)、ブランドマークはインレタ、動力改良
2016年1月 7003F 第2世代 晩年期の旧塗装(前面窓枠が銀)、ブランドマーク印刷済み
2019年3月 7004F 第3世代 ラストラン仕様
2020年1月 7001F 第3世代 新塗装、身障者対応車、シングルアームパンタ、ブランドマークはインレタ

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11両フル編成が1つのケースに収まるが、最初期製品から変わらず1段目が11・10・9号車、2段目が8・7・4号車、3段目が5・6号車、4段目が3・2・1号車と、トリッキーで直感的ではない並びになっている。同社のVSEや他社の連接ロマンスカーは編成順になっているのだから、そろそろ手を入れてほしい気もする。

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動力車用の補助ウエイト2つ、交換用ヘッドマークパーツ2つ(ビニール袋に入っている)、ヘッドマークステッカー、ブランドマークのインレタが付属品となる。

各種後述するが、今回製品は動力車のウエイトが薄型で軽量になったので、補助ウエイトはトラクション不足の場合に取り付ける。ヘッドマークはデフォルトで「はこね」がセットされているため、変えたい場合はステッカー+付属パーツで交換する。ブランドマークは再現したい時期(付き始めたのは2008年3月から)に応じて施す。

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奥が今回製品、手前が2005年発売の従来製品の新塗装。約15年の変化を顔を中心とした比較でみていきたい。

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上段が今回製品、下段が従来製品。

ボディや窓などのパーツは大部分従来製品と同じものを流用しているが、ヘッドライトとヘッドマークは大幅な変更を受けており、銀色のリムは太くてハッキリしたものとなりパーツの精度感も向上、ぱっと見でもキリっとして男前な印象になったことがわかる。

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実車と比べても、ヘッドライトとヘッドマークのリムの目立ち方もさることながら、四隅のR付けがよく似てると思う。一つだけ惜しいのはやや扁平気味なところで、窓下の黒帯との位置関係を考えても、従来製品と今回製品の間くらいだったらちょうどよかったかもしれない。逆にいえば、従来製品はちょっと大きめだと感じている。なお、公式を見る限りラストラン仕様はヘッドライト内部の構造は今回製品と同様に改良(後述)されているが、大きさやリムの太さは従来製品に準じている。

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左が今回製品、右が従来製品。後述するが、従来製品は先頭部の車高が高い。

最初期製品は両ヘッドライトとヘッドマークの部分が一体型のクリアパーツで構成されていて(間の塗装はステッカー表現)、上の写真を見るとどちらの製品にもその周囲に名残の分割線が見られる。右の従来製品から各パーツが分割されてその間も塗装表現になったが、パーツ精度はよくなくて福笑いみたい(ちょっと大袈裟か)になっている。今回製品もこの範囲内での調整ながら精度感が向上し、見た目がかなり改善されたといえるだろう。

今回製品はヘッドマークに印刷済みの「はこね」がデフォルトでセットされており、カトーの「NSE」を思わせるが最初から印刷されているのは楽。個人的には新塗装「LSE」は「はこね」よりも「さがみ」「えのしま」な印象なんだけど、印刷済みヘッドマークパーツが付属していたカトーと異なり、こちらは付属パーツにステッカーを貼って交換することになる。

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今回製品はヘッドマーク4隅にある小さな突起も表現されていることがわかる。また、やはりヘッドライトとヘッドマークは扁平気味だと思う。ヘッドライト直下の赤とアイボリーの塗り分け線、実車ではエッジの部分で塗り分けられているが模型ではやや下にあり、この点は従来製品から改善されていない。

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上が従来製品、下が今回製品。前面回りの改善と並んで大きいのが先頭部の車高が下げられたことだろう。従来製品は集電スプリングによって上がってしまっていて、触るとボヨヨンと揺れてしまっていたほどだが、ここが改善されただけで随分落ち着いているというか、見た目の安定感が劇的に向上している。

展望席の窓は一部が車体も構成しておりボディと同色で塗装されているものの分割線が出ている。離れて見ればまあまあ気にならないが、そこは設計の古さが出てしまっている。

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運転席下の赤とアイボリーの塗り分けは実車はなだらかなラインを描いていて模型は少々異なるようだ。

各種窓や扉の位置といった基本的な造形はかなり良く、相当古い設計の製品ながら「モデリングのトミックス」を見せつけられる。ただ、それ故に古い設計が使いまわされ続けてきたのかもしれない。

写真が傾いて見えるが、現場がかなりの下り勾配だからである(定番の渋沢~新松田間で撮影)。

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上が従来製品、下が今回製品。前述のとおり、先頭部の車高が下がったおかげでウィリー気味だった車高がほぼ水平になった。「先頭車の車高」ではなく「先頭部のみ」が高かったのである。設計が古いとはいえ、よくこんな状態で最近まで売っていたなと思うが、遅きに失したとはいえこの改善は高く評価したい。なお、この改善はラストラン製品から適用されている。

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奥が今回製品、手前が従来製品。運転席の屋根周りはパーツの分割が古めかしい。アンテナの色は今回製品は濃いグレーになった。従来製品は取り付けが良くなくて両先頭車とも同じ状態だったから、ここも改善されたのだろうか。

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パンタグラフ周りも全く同じだが、避雷器とヒューズ箱のグレーが先頭車のアンテナと同じグレーに変更されている。濃いほうが今回製品だ。

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上が従来製品、下が今回製品。6号車に設定された動力車(ここだけ両側に台車がある)は従来製品では車内いっぱいウエイトで埋め尽くされていたが、今回製品は高さが抑えられてう向こう側が見通せるようになり、室内灯も取り付けできるようになった。ただ、車体長が短いので相当軽量になってしまっており、レイアウトの条件によってはトラクションが足りず、前述のとおり付属品の補助ウエイトを付けることになる。この動力の改善は復活旧塗装(前面窓枠が黒)から適用されている。

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従来製品ヘッドライト点灯。

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今回製品ヘッドライト点灯。フォーカスが少しずれたみたい。

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従来製品テールライト点灯。

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今回製品テールライト点灯。

今回製品でもっとも顕著に改良を感じるのは灯火類周りだろう。緑色LEDでヘッドライトしか点灯しなかった最初期製品と比べたら(ここで挙げてる)従来製品はマシになったのかもしれないが、それでも今回製品と比べたら大雑把すぎるといわざるを得ない。

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正面から見ると従来製品はひどすぎて(苦笑)もはや次元が違うレベル。今回製品も正面からだとパーツの隙間から光が透けてしまっているし、特にテールライトはやや下方にずれているうえにヘッドライトに少し光が漏れてしまっているが、それでも劇的に改善されたといっていいだろう。

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今回製品は上方から見た場合の光漏れ対策も抜かりない。もしかしたら、ヘッドライトの光漏れ対策のためにヘッドライトがやや扁平気味になったのかもしれない。個人的にはヘッドマークの光り方がすごく気に入っていて、古い製品をベースにここまでやったのは称賛に値する。これの前では従来製品はもはやオモチャ。

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実車のヘッドライトとテールライト。それぞれの大きさの比率も良く再現できていて、かなり頑張ったといえるだろう。一応、ラストラン仕様もこの構成になっている。

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左が今回製品、右が従来製品。床下は同じパーツながら、今回製品は先頭部の下部に部品が追加されており、これがヘッドライトの改良の種なのかもしれない(分解はしてないので詳細は不明)。台車も同じパーツだが集電方式が変更されていることがわかる。

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上が従来製品、下が今回製品。身障者対応工事が行われた3号車の客用扉付近を見る。従来製品新塗装で初めて新規制作されたボディで、その後の復活塗装やラストラン製品でも使用されている。逆に使っていないのは登場時を再現した製品のみである。

色調は新旧変わらず、扉横のステップに塗り残しがある点も変わらない。というか、動力車を除けば中間車は従来製品との見分けは付きにくいくらい。

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扉や窓の位置関係などは問題ない。号車番号や禁煙マーク等は一切印刷がなく、その下のプレートがモールドされているだけである。ロゴマークの位置は従来製品の方が近く、今回製品はやや上方&客用扉寄りである。今回製品が悪くなったというより単に個体差レベルの問題だろう。

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ロゴマークの比較。上から従来製品、今回製品、実車。今回製品はロゴの主線が濃くなり、花の茎の部分のグリーンがきちんと枠内に収まって印刷されていることがわかる。実車は花は白で地がアイボリーで模型ではそこまで再現していないのだけど、従来製品の方がアイボリーという感じである。

このロゴは神奈川県の県花である山百合をモチーフにしたもので、「SE」より前の1700形第2編成(後に第1編成にも装備)より採用された。エッチング製の立派なもので2300形にも採用され、「SE」「NSE」「LSE」の旧塗装では採用されなかったものの、「LSE」の新塗装化と併せて「HiSE」「RSE」にもステッカーによるものとはいえ復活した。「EXE」以降はそれぞれ専用のロゴが用意されたため採用されることはなく、「LSE」も旧塗装に戻ったことで姿を消した。

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両先頭車でシートの色が異なるため(5・6号車に境界がある)、展望席から室内パーツの色違いが見えてしまう。比較的新しいカトー「NSE」も同様で、編成を組めば並ぶことはないとはいえやはり興ざめする一瞬。なお、登場時仕様は編成を通してシートの色が統一されているためこのような状態は見られない。

●総評

根本的には40年近く前の製品がベースであり、実際にそれが分かってしまう・見えてしまう部分はあるし、いくら弄ったところで所詮古いもんは古い。正直、そう思うところはある。しかし、それにしても今回製品はできる範囲でのことは目一杯やったうえに、最大限に良い結果も出していると感じており、よくやったなという感想の方が優る。扁平気味なヘッドライトなどやや惜しい部分はあるもの、ここまで良くなるとは想定外だった。

カトー「NSE」のレビューで従来製品のトミックス「LSE」は「論外」と評したが、正直なところ今回製品はここ最近のロマンスカー製品(他社製含めて)と並べても遜色ないレベルになったと思う。今回の改良をもっと早くやってくれてたらよかったのにと思うところはあるものの、それでも従来のトミックス「LSE」への認識を覆すくらいの製品になったと評価したい。

今回の仕様で「登場時の」旧塗装も欲しくなってくる。ついでに、「HiSE」もヘッドライトの中身なら今回製品並みに修正してくれると嬉しい。今後に期待したい。

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No title

やっぱり買っちゃいますよね!
自分も色々迷いましたがK社から出そうな空気も無いので買っちゃいました
ライト周りとウィリーの改善でかなりLSEらしさが出たように思えます

初めまして

初めましてkeio201です。いつも楽しく拝見させて頂いております。
私もこのLSEを入手しました。たしかに古い点はありますが、素晴らしい製品に
なったと思います。この製品は最初はさよならセットの色替えだろうと思っておりましたが、更に改良してくることを知ったときにはとてもびっくりしました。改良されライトやヘッドマークが今まで似てなかったのが、ようやく実感的なLSEと言えそうです。私もHiSEもかつてのKATO製のようにライトがしっかり再現されればよいのですが・・・後RSEはモデモではなく本当はマイクロエースで製品化して欲しかったものです、後の祭りですが・・・・(モデモは動力や足回りなどに難が見られるため)

Re: No title

キサロハ 様

前にコメントいただいたときにLSE新塗装の発売に気づかず変な回答してしまいすみませんでした。ラストランのことを示しているのかと思いまして・・・

そんなわけで、旧製品のリプレースで買ってみました。古い製品ベースながら良リニューアルで、他のロマンスカーと並べてニンマリです。レビューも参考にしていただければ。

Re: 初めまして

keio201 様

コメントありがとうございます。

私もこれまでトミックスLSEに持っていたイメージを覆されるほどの出来だと思いました。正面からの灯火類の写真を見たときに「すげぇ」って思ったくらいで。旧塗装登場時のほか、HiSEも同じ改良に期待したいですね。

モデモのRSEはぱっと見は悪くないんですが、客用扉まで裾絞りになっていたり、ロゴがステッカーだったり、台車のボルスタアンカーが逆向きになっていたりと、けっこう粗が多いですね。後に発売された改良版は客用扉以外は改善されているのですが、それ以降再販もないし・・・他メーカーに期待したいですがなかなか難しそうです。
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