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小田急ファミリー鉄道展2019

ちょっと時機を逸してしまったが(1ヵ月前って逸しすぎだろ・・・)、5月25日に行われた「小田急ファミリー鉄道展2019」のレポ。

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5月下旬にして30度越え。晴天もいいところだが、撮影のことを考えると曇りの方がよかった・・・

海老名で毎年行われる小田急の恒例のイベントで、当ブログでも何度かレポしたこともあるが、毎年10月に行われるのに今年はなぜか5月に急遽行われることになった(その理由は後で知ることになる)。イベントの開催を知ったのは数日前、しかも当日は季節外れの暑さだと聞いていたし、何しろ昨年10月からそんなに時間が経っていないから、今回はスルーしてもいいかな?とか思っていた。

しかし、告知で目を疑ったのが(公式的に)初代ロマンスカーである3000形「SE(SSE)」を展示するという情報。それも、普段格納されている専用の保存庫ではなく屋外、つまりいつもの展示車両コーナーで見ることができるという。保存庫内での展示というのは過去に何度かあったし(それさえもしばらく休止していたが)、屋外展示も2007年に実績があるがその時はロマンスカー50周年記念という名分があった。なので今回はいったい何があったのか!?と思った。

とはいえ、屋外展示されるとなれば12年ぶりのことである。筆者にとってはスルーできるはずもなかった。

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目玉の「SE」と同時展示されていた最新鋭ロマンスカー70000形「GSE」。こちら側(山側)は架線柱が多いな・・・

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海側は架線中はないものの、光線状態の問題で光が反射してしまった。奥に「SE」が見える。

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先頭部にはグッドデザイン賞のロゴが貼り付けされていた。数日前にはブルーリボン賞も受賞しているが、こちらはまだなんの装飾もなかった。

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晴天により光線状態が厳しいが、赤い車体に青空がよく似合う。

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一部車両には運用1周年ロゴが貼られていた。車体の映り込みから、人の多さがわかる。

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形式写真も何枚か。人多い+架線柱などの障害物+海側は半分くらい「SE」がかぶってるなどで全号車は撮れなかったが・・・

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模型では省略されていた(Nゲージには小さすぎる)フロントピラーのエンブレムにはグッドデザイン賞のロゴが追加されていた。

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それにしても、昨年の模型のレビュー前にこれだけ撮れていたらなと思う。昨年10月のイベントは引退する「LSE」がメイン展示で「GSE」は展示されなかったし、結局海老名や本厚木て慌ただしく撮るしかなかった。

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側面の「ローズバーミリオン」と屋根上の「ルージュボルドー」の違い。

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模型でも表現されていたが、側面にある微妙な段差がハイライトとなりアクセントになっている。ツライチになる乗務員室扉には段差があるが客用扉にはない。

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連結部にある衝撃吸収機能付きアンチクライマー。

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床下にある冷却用の空気取り入れダクト。こんなところ撮る人間はそうそうおらず、ディテール取り放題よ。

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そして今回の目玉展示である3000形「SE」。この車両より前にも「ロマンスカー」を名乗った車両は存在しているが、小田急の公式的にはこれが初代ロマンスカーとされている。1957年に登場し、当時の狭軌の世界最高速度145km/hの記録を持ち、その後の新幹線にも多大な影響を与えたといわれている。

当初は8両編成だったが、後に御殿場線乗り入れ対応改造で5両編成になり、電気連結器や後継の「NSE」と共通のヘッドマークが取り付けが行われ、この写真のような顔つきに変わった。江ノ島線沿線民だった筆者にとって「えのしま」号といえばこれだったので、個人的にも思い入れが大きい車両だ。もっとも、晩年は「えのしま」で使われることもなくなり、もっぱら「あさぎり」専用車として1991年の後継車両20000形「RSE」登場まで活躍していた。

「GSE」7両(連接車11両相当)に対し5両編成と短いので、こちら側は「GSE」と顔が並ばないのだった。

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ロープが入ってしまったが、ローアングルで撮るとスピード感があるスタイルだと思う。この写真からは感じにくいが、実はものすごい数の撮影者が背後にいる中での1枚である。

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レトロというか濃いというか・・・このゴテゴテ感。窓越しに見えるグレーの受話器が味ありすぎ。

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流線型ながらノーズはそれほど長くない。「MSE」の非貫通型(扉あるけど)の方が長く感じるくらい。

「NSE」「LSE」にも引き継がれた塗装だが、車体下部のグレーには後継車とは異なり白いストライプが入らない。代わりに側版にビードがあるのが特徴で、一昔前のステンレス車・・・小田急でいえば1000形、2000形あたりで見られるが、鋼製車では珍しいケースといえる。これは「SE」が高速化志向による軽量化を徹底しているためで、外板がそれだけ薄いということになる。

先頭部が乗務員室扉のみで客用扉がないのは「EXE」「MSE」も同じだが、「SE」は先頭車両にそもそも客用扉がなく、乗降は次位の車両からするしかなかった。この乗務員室扉もかなり小さく、身長172cmの筆者でもかがまないと通れない。2007年の展示では車内も見学出来て、出口がこの乗務員室扉だったのだ。

側面のサボには「御殿場-新宿」とある。「SE」時代の「あさぎり」号は御殿場線内では急行扱いだったが、「RSE」投入で沼津まで延伸され特急となった。その後は利用客低迷で再び御殿場まで縮小(種別は特急のまま)、現在は「MSE」がその任に就いている。

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連結部は連接車であるため台車を2両で共有していることがわかる。登場した時期もあるが空気ばねではなく、なんとコイルばねだ。連接構造もロマンスカーの特徴だったが現在では「VSE」に残るのみで、最新の「GSE」では一般的なボギー車になっている。

他にこの写真から見られる特徴として、客用扉が手動だったことが挙げられる。「SE」より前のロマンスカー(1910形、1700形、2300形)は自動だったので機構だけ見れば退化していることになるが、ドアエンジンすら載せたくないほど軽量化に拘っていたといえる。手動ドアは次のの「NSE」でも採用されており、開閉はアテンダントが行っていた。降車時にはアテンダントの挨拶も行われていたから、特に観光特急の演出として手動ドアとの相性は良かったのかもしれない。なお、「LSE」以降はすべて自動に戻っている。

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これも軽量化のためだと思うが客用扉と客室の間に壁がなく、いわゆる「デッキ」が存在しない。連結部の貫通路も広めにとられていて、車内全体の見通しの良さを重視した設計になっている。

「SE」では軽量化のほかに「低重心構造」で床下が低いのも特徴だ。客用扉部=ホームの高さからスロープで少し下って客室に入ることになり、ダブルデッカー車の階下席に比べたらカワイイものだが、座席に座ると明らかにホームが近くて床下の低さを実感できた。

客用窓は固定化されているが、これは1984年の更新によるものでそれ以前は窓を開けることができた。それもそのはず、登場時は冷房すらなかったためである(後に設置された)。

ここまで書いてきて改めて思うが、この車両はいろいろ規格外すぎる。先頭車に客用扉がないとか、今では認可されないんじゃないだろうか。

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3号車の喫茶カウンター部分。当時は「走る喫茶室」といって、ワゴンによる車販ではなく座席でオーダー&届けてくれるというものだった。1987年登場の「HiSE」では端末を用いたオーダーシステムまで導入していたが、その後は利用低迷でロマンスカーも一般的な車販になってしまった。観光ロマンスカー復古を目指した「VSE」では「走る喫茶店」システムを復活させたものの、長続きせず現在は車販のみとなっている。新幹線を含め、JRでは車販すらない特急も運転されている時代だ。駅の外でも中でもカフェには困らない現代、もう「走る喫茶室」が成り立つ時代ではないのだろう。

サボに「A号車」とある(2つ上の写真では「B号車」もある)が、これは重連運転時の座席番号重複を避けるための処置である。「EXE」「MSE」のように6両編成は小田原寄り、4両編成は新宿寄りと決まっているならよいが、「SE」の場合は2編成のどちらが前後に来るのかわからない。同じようなケースは新幹線のE4系でも見られるが、「SE」の時代にはLEDによるデジタル号車番号表示機などは存在しない。なお、「SE」の重連はあくまでも増車目的であり、分割併合運転は行っていない。

ところで、隣の車両には下部のグレーがなく塗装が違っている。どういうことかというと・・・

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こちら側は逆光がきつい・・・「GSE」と並べている顔つきが異なっているが、こちらは先頭部が登場時の原型に復元されている。次位の車両までは塗装も復元されているため、編成途中で塗装が変わっているのである。

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「SE」の原形、つまり御殿場線乗り入れ改造前は重連を行わないので電気連結器を装備しておらず、ヘッドマークも上で見せた「NSE」と共用するタイプではないから、改造後と比べてゴテゴテ感がなくすっきりした印象がある。窓枠がグレーに塗られているのも原形に忠実だが、復元されたのは顔と塗装だけで前述の客用窓固定化などは晩年のままである。

「SE」が登場した時代は電車といえば「茶色の1色で箱型」が幅を利かせていた時代。そこにこんなのが出てきたら、そらもうすごいインパクトだったろうって。今回の記事で扱いたかったのはこちらだから無理もないが、「GSE」よりも写真のキャプションが大幅に多くなっていて自分でも苦笑している。改めて規格外というか、ネタが多すぎるのだよこの車両。

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上の写真にもチラチラ写っているが、「SE」と同一線上に箱根登山塗装の「赤1000形」がいた。「SE」は自走できないし、この車両の前にもロープがあるからイベント中は封じ込め状態ということになる。かといって、パンフレットには展示車として記載もされていない。

実は「SE」をここまで牽引してきたのはこの赤1000形である。イベント後も推進運転で「SE」を移動させている。「SE」を動かす車両が必要ならば、イベント映えする赤1000形でということなのだろう。行先表示にある箱根湯本・片瀬江ノ島の分割列車はすでに存在しないし、赤1000形が用いられたこともなかった。こんなネタを盛り込んでいる時点で、どう見ても「事実上の展示車」にする気マンマンである(一応、赤1000形は過去に展示された実績はある)。

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また、こちらは本当に展示車ではないが、「EXE」と「MSE」の4両編成が並んでいた。あまり見られる画ではないせいか、撮る人も多かった。

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「MSE」はいったん出庫したがすぐ後に別の編成の「MSE」が入庫したので、少なくとも筆者がいた時間帯はずっと並んでいた印象だ。「EXE」の方はしばらくして3000形(「SE」じゃない)に前方をふさがれる形となり、ずっと動くことはなかった。

かくして、イベント会場を後にした。この後ゲームやるために隣の本厚木まで移動する際(ビナウォークのタイトーステーションは混んでたのよ)、空になっているであろう「SE」の保存庫を見ていたところ、その中にはなんと通勤車両の保存車(2200形、2600形、9000形)が格納されているではないか。本厚木から戻って来た際に再度見ても同じ。通勤車両がそこにいることも驚いたが、保存庫前のレールも撤去されていたから「SE」は再格納できないことになる。

これらの出来事は帰宅してからいろいろ調査したところ、2021年に海老名に建てられる「ロマンスカーミュージアム」に関わる準備の一環ということがわかった。

「SE」はこのイベントの直後に相模大野に回送されており、おそらくミュージアム収蔵に向けて・・・あまり考えたくないが、すでにアナウンスされている中間車2両の解体を含めた「お色直し」をするのだと思う。2021年にはまだ早い気もするが、収蔵車両はほかにもあるので完成までの工程を逆算すると「SE」はこのタイミングになったのだと思われる。海老名から相模大野まで移動させるにもいったん保存庫から出さなければいけないわけで、どうせならこのタイミングでイベントをやって「SE」も屋外展示してしまおう、という算段だろう。

そして、次に「SE」を見られるのはミュージアム完成後であり、5両編成の状態で陽の下で見られるのはこのイベントが最後だったということである。その意味では来て本当によかったと思っている。

また、前述の通勤車両3両については、もともと喜多見に保存されていたが手狭になったという理由で相模大野に移動しており、さらにこのイベントの数日前に海老名に来て主がいなくなった保存庫に格納されることになった(「SE」はその前に出庫していてイベントまで検修庫で待機)。この3両はミュージアムに収蔵される予定はないが、この保存庫に格納しておけば営業線の邪魔にはならないし、「SE」がそうであったようにイベントに出すことも可能だろう。個人的にはこれらもミュージアムに常設展示してほしかったけど(特に9000形は好きなので)、いい落としどころになったのではないだろうか。

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