「現美新幹線」撮影・乗車記
前回の「とれいゆ」に触発されたのか、「現美新幹線」も見たくなって撮り・乗りに行くことに(久々の長記事です)。
「現美新幹線」は「とれいゆ」と同様に、「こまち」運用を終了したE3系の余剰車(R19編成)を現代美術館風に改造したジョイフルトレインで、派手な花火のラッピングが特徴の車両である。「とれいゆ」が山形新幹線内で限定運用されているのと同様に、「現美」も上越新幹線の越後湯沢~新潟間での限定運用となり、基本的には東京駅まで来ることはない。
前回記事の「とれいゆ」のように、「現美」もいずれは臨時列車として東京駅に来る可能性はあると思うが、当分その予定はなさそうなので、こちらから向かうことにした。当然、最低でも越後湯沢まで行かなければならないが、山陽新幹線や九州新幹線のように新大阪や博多まで行くのに比べたらはるかにイージーだ。
撮影は沿線から狙う方法もあるが、今回は「乗り」があるので駅撮りが望ましい。しかし、上越新幹線の越後湯沢以北の駅は雪対策のために上屋とそれを支える柱があったりで撮影には厳しい。2013年に200系乗り納めで越後湯沢に行ったときは撮影は無理、って思ったのだ。
しかしながら、いろいろ調査したところ越後湯沢の隣の浦佐は上屋はあるものの駅の前後は開けているようで、現地に行ってみなければわからないが、とりあえず撮影場所としてチョイスすることに。「現美」は3往復あるので、2往復を浦佐駅での撮影、最後の往復を乗りに割り当てることにした。
「現美」のレポは他にも(もっと詳細なものも)あると思うけど、とりあえず筆者の視点によるレポということで。

E4系「Maxとき」(P13編成+P51編成、乗ったのは前者)で東京から浦佐に向かう。ピンク帯になってからは初めて乗ったが、内装はまったく変わらず。E4系の自由席2階はシートがリクライニングしない3+3列なので階下席にした。輸送力最大のE4系16両編成ということもあってか、あまり乗っておらず快適だった。

1時間半程度で浦佐に到着。200系乗り納めの2013年1月以来(記事)、越後湯沢より北側に来るのは初めてである。

典型的な上越新幹線の中間駅スタイルで、雪対策のために上屋があるだけではなく柱がズラリとあるので通過・停車に関わらず撮影には全く向かない。越後湯沢もそうだったし、以北の長岡・燕三条も同じ。上毛高原は上屋があったが柱はなく、降雪量の違いで変えているのだろうか(上毛高原は群馬県、他は新潟県)。

しかし、駅の前後はトンネルもないし架線中など障害物も少ないので、ホーム端のフェンス越しにカメラを向ければ撮影は十分可能であることを確認。写真はホーム新潟寄りから上りE2系を撮影したものだが、編成の後ろまで入っていないので(右上にフェンスも写ってしまった)、もう少し右から撮影したほうがよいかな?などとポジションを確認。浦佐駅到着後から1往復目の「現美」上りが来るまで時間があまりなく、根本的に運転本数が少ないので他列車による練習もできず(このE2系しか来てない)、ほぼぶっつけ本番でターゲットに挑む。緊張する~

キター!!まずは1往復目の上りを撮影。白い車体が多い新幹線の中でも「現美」は黒主体と異彩を放っており、露出をいつもより上げておいたが、これ見る限り必要なかったかも。前面は光沢が強く空模様を反射してしまった。幸いなのは停車列車(「現美」は各駅停車で運転)なので速度が遅く撮りやすいこと。シャッタースピードがそこそこでよいのは助かる。

東京寄りのホームエンドで、前述の新潟寄りも同じような感じ。フェンスの隙間を使うほか、写真の位置からズームしてフェンスや上屋の柱を抜く方法もある。

下り列車は案の逆光になってしまう。この写真はフェンスの中央あたりから撮影したが、E2系では編成全体が入らないものの、8両目くらいまでは入っているので、ミニ車両6両編成の「現美」ならば十分に収まりそうだと判断。

E2系と同じ画角で2往復目の「現美」下り列車を撮る。編成はきれいに収まったが、逆光により顔がテカり気味に。こちら側の側面(海側)はほとんどの窓が埋められているのがわかる。
さて、この列車が新潟から折り返してくるまでに1時間半以上あり暇なので・・・


浦佐駅の様子を。東側(上)と西側(下)、駅前にはローカル感が漂う。とはいえ、東海道新幹線ですら米原とかは大概だったりするし、ローカル感がある新幹線駅は他にもあるっちゃあるのだ。
しかし、この駅の東側国道沿いにはかの田中角栄先生の銅像もあり(写真には写ってないが、上りホーム東京寄りから見ることができる)、諸説あって筆者には真実はわからないけども、ここが「政治駅」と揶揄されるのもやむなし、という光景ではある。

「現美」の宣伝に余念がないコンコース、分不相応なくらい広いが乗客はほとんどいないのでひっそりしている。同業者も終始いなかった。誤算だったのは改札内には売店すらなく、今回は新潟まで自由席券買っているので改札から出ることができず、食料の調達ができなかったこと。昼食はとりあえずお預けという事態に・・・

冷房が効いた待合室で空腹に耐えつつネット見て時間をつぶした後、2往復目の上り列車を狙う。1往復目とは異なり、フェンスから少し離れて300mm以上のズームで狙ったところ、顔もテカらず塊感もいい感じで撮れた。「出」が五月蠅いのと暑さゆえに後ろの方が陽炎になっている以外はこの日のベストショットだと思った。




この列車は通過待ちのために5分程度停車する。6両編成程度であれば余裕で全号車の形式写真を納められる時間だが、「柱の邪魔さ加減」は言葉にする以上のものがある。形式写真も手前側の柱を避けるために号車ごとに画角が変わってしまうし、そもそも奥側の柱だけは避けようがない。他の中間駅(長岡・燕三条)も同様なので、「現美」の形式写真撮影は通常運転時では事実上不可能といえる。

こんな感じだったら、柱を意識させない絵にはできるんだが・・・全体的に派手な印象の「現美」であるが、ロゴといえるものは先頭部のこれくらいで案外シンプルである。

先ほどの列車が隣の越後湯沢から折り返して3往復目となる「とき455号(下段)」にいよいよ乗車する。ここでは特に「現美」であることは表示されないが(案内放送では「現美新幹線で運転」といっている)、自由席12~16号車はまさに11号車スタートのE3系のそれで、他の上越新幹線を走る車両では見られない。

乗車目標も専用のものが掲示されている。今回は下り方面の先頭車となる16号車から乗車することに。なお、浦佐から乗車したのは筆者のほかにもう1人いるだけだった。

デッキ部の案内図。「世界最速芸術鑑賞」・・・まあ、世界でもこれしかないだろうから確かに最速ね(苦笑)。車内アナウンスが「ご乗車」ではなく「ご来場ありがとうございます」というのが印象的。これはあくまでも美術館なのだと。
自由席で乗っていることもあるが、そもそも車内徘徊してナンボの車両。復路で撮ったものとまとめて紹介する。筆者は美術に関してはまったく無知なので、そっち方面からの内容はご勘弁を。

最初に乗った16号車は壁のモニターで意識高そうなCGを延々と流していた。そのため、この車両はブラインドが下がっていて薄暗いのがデフォである。E3系先頭車は前方に客用扉がないので、奥に写っている扉の向こうは運転室となる。

15号車はガラスケースの向こうにカラフルな切り絵のようなものが上下から糸で張られていて、車両の揺れに合わせて動く。カラフルで見ごたえがあるせいか、往復通してこの車両が一番人気だった気がした。

ただし、陽が差し込むと暗い感じになってしまうため、トンネルが連続する越後湯沢~長岡間で見るのがいいかも。夜ならどうかと思ったが、今のところ「現美」は夜間運転がない。

14号車は新潟県をテーマにした写真を展示。

11号車と13号車以外は座席がソファ仕様になっている。自由席扱いなのでどこに座るのも自由。美術館の休憩場所みたいなイメージだろうか。

13号車はカフェになっていて、新潟県内の有名なカフェのコーヒーやケーキ類を購入できる。新幹線の供食設備はとうの昔に絶滅しており、売店・自販機はおろかワゴンサービスまで一部列車では省略されつつある中、「とれいゆ」と並んで貴重な存在である。また、カフェの向かいにも絵画が展示されているのがわかる。

少しブレてしまったが、カフェの前にはテーブルと座席がある(前の写真でお子さまが座っている位置)。4人分しかないが、カフェカウンターとともに設置されている以上はかつてのビュフェ車以来の「れっきとした」供食設備といってよいだろう。「現美」のように乗ることを目的とした車両だからこそできた芸当だ。

カフェ前のテーブル席はレアスペースとなるが、コーヒーもケーキもテイクアウトスタイルなので車内のどこでも飲食可能。ブルーの紙ナプキンは専用品。今回は「ツバメアイスラテ」「米粉バニラケーキ」「佐渡レモンケーキ」を購入。ケーキ2つも食べるのかって?、浦佐で昼食にありつけなかったんでね・・・バニラケーキが非常に美味だった。

カフェがある13号車は半分がキッズスペースとなり、ここでプラレールで遊ぶことができる。500系にもプラレールカーがあったがそれ以来か。壁のオブジェも展示物となっている。また、この号車だけは窓が海側に開けられている(他は山側が窓)。

12号車は鏡張り。車内が広く見えるのが面白い。

「現美」のソファは通勤電車のロングシートよろしく車窓を簡単に楽しめないが、この号車は鏡のおかげである程度は車窓を見ることができる(カメラ構えているのは筆者です)。この車両は15号車とは逆でトンネルに入ると車窓が見えなくなってしまうから、トンネルがない長岡~新潟間で乗るのがいいかもしれない。

上越新幹線はトンネルだらけなイメージがあるが、長岡以北はトンネルがなく、こんな感じの一面水田という景色も見られる。他の新幹線では見られないほど広大で、そりゃここで速度試験とかやるよな、って思った。

シックにイメージチェンジされた12→11号車の通路を見通す。

11号車は元グリーン車で「現美」では指定席車となる。座席やカーテンの生地は張り替えられているが、基本的にはグリーン車時代の車内から大きく変化しておらず、原形を留めていない他の号車と一線を画している。このあたりは「とれいゆ」の11号車にも共通している。
「現美」は乗車時間が短く、展示見学で車内を回遊する性質のため指定席車のメリットがあまりないように思える。そのためか、往復ともにガラガラだった。

浦佐からわずか40分程度で新潟に到着。上越新幹線を乗り通したのは今回が初めてである。仙台とか名古屋あたりの距離で終点になるわけだから、新幹線としては短い路線だと改めて感じた。

新潟駅は2面4線となるが、「現美」は残念ながら外側のホームに停車となり形式写真の撮影はできない。上屋付きにしては天窓があって明るいし、中央2線への停車だったら形式写真の撮影には十分だったのだが・・・残念。



それにしても、ホームにいるだけでこの存在感はすごい。特に一番下の15号車は車内の展示品を含めてかなりのインパクト。今度トミックスから出る「現美」は車内は再現されないとのことだが、これは改造して室内灯入れたくなる気分。

新潟駅に限った話ではないが、「現美」用の停目は「秋」と表記される。E3系は秋田新幹線からは撤退した車両であるが、現場的にはいまだに「秋田新幹線型車両」みたいな扱いなんだろうか。ちょっと面白い。


「現美」はその見た目や車内の派手さに反して乗車ハードルは非常に低い。運用だけで見れば越後湯沢~新潟の各駅停車の「とき」でしかなく、当日の自由席で乗ることができ、運転日は土日中心とはいえ3往復もありシャトル便の様相を呈している。満員まではいかないが、撮影時に外から見てもそこそこ乗っている感じがしたし、自分が乗車した列車も同様。案外、ただの移動手段として使っている人もいる・・・かな?
新潟では「現美」を降りてすぐに改札を出て再入場。新潟は初めてだったのに速攻でホームに逆戻りである。メインサイトの九州遠征記事でも同じことを書いた気がするが、たまには観光でじっくり来たいものである。新潟に着いた「現美」はそのまま折り返しの清掃を実施した後、本日最後の運用として越後湯沢に向かう。今回は時間的にベストだったので、復路も「現美」に乗ることにしたわけだ。

復路は新潟からフル乗車で越後湯沢に到着。所要時間は長岡での退避も含めて50分ちょいといったところ。越後湯沢でも外側の線に停まるので、今のところ「現美」の形式写真撮影は正攻法では不可能といえそうだ。下回りは「こまち」時代から変わっていないと思うので、上部のディテール撮影だけでも十分といえば十分だが・・・
この写真を見て改めて思ったが、「現美」は正面からだとまっ黒であまり映えないね・・・側面の派手ラッピングあってこその「現美新幹線」なのかもしれない。新潟と異なり、壁が横に来てくれたおかげで逆光は免れたようだ。

パンタカバーも逆光が抑えられたので撮る。ここも「こまち」時代から変化はない・・・ということはトミックスのはまたしても実車と異なることに。

「そして誰もいなくなった」越後湯沢駅・・・といっても、現美を降りた乗客は後続の「とき」に乗るために奥の方にある待合室にいるんですが。しばらくして「現美」は回送列車となり新潟方面に引き上げていった。

東京方面には長大トンネル「大清水トンネル」が覗く。200系乗り納めのときは雪がすごかったが今回は夏。30分ほど待った後、E2系J75編成の「とき」で帰路につく。東京駅に着いたのは20:00近く。新幹線の「乗り」自体が久しぶりだったこともあるが、なかなか充実した1日だった。
「とれいゆ」「現美」も撮った・・・次はいよいよ500系EVAか!?10月に博総イベントがあるが、遠い&高いのではたして・・・
「現美新幹線」は「とれいゆ」と同様に、「こまち」運用を終了したE3系の余剰車(R19編成)を現代美術館風に改造したジョイフルトレインで、派手な花火のラッピングが特徴の車両である。「とれいゆ」が山形新幹線内で限定運用されているのと同様に、「現美」も上越新幹線の越後湯沢~新潟間での限定運用となり、基本的には東京駅まで来ることはない。
前回記事の「とれいゆ」のように、「現美」もいずれは臨時列車として東京駅に来る可能性はあると思うが、当分その予定はなさそうなので、こちらから向かうことにした。当然、最低でも越後湯沢まで行かなければならないが、山陽新幹線や九州新幹線のように新大阪や博多まで行くのに比べたらはるかにイージーだ。
撮影は沿線から狙う方法もあるが、今回は「乗り」があるので駅撮りが望ましい。しかし、上越新幹線の越後湯沢以北の駅は雪対策のために上屋とそれを支える柱があったりで撮影には厳しい。2013年に200系乗り納めで越後湯沢に行ったときは撮影は無理、って思ったのだ。
しかしながら、いろいろ調査したところ越後湯沢の隣の浦佐は上屋はあるものの駅の前後は開けているようで、現地に行ってみなければわからないが、とりあえず撮影場所としてチョイスすることに。「現美」は3往復あるので、2往復を浦佐駅での撮影、最後の往復を乗りに割り当てることにした。
「現美」のレポは他にも(もっと詳細なものも)あると思うけど、とりあえず筆者の視点によるレポということで。

E4系「Maxとき」(P13編成+P51編成、乗ったのは前者)で東京から浦佐に向かう。ピンク帯になってからは初めて乗ったが、内装はまったく変わらず。E4系の自由席2階はシートがリクライニングしない3+3列なので階下席にした。輸送力最大のE4系16両編成ということもあってか、あまり乗っておらず快適だった。

1時間半程度で浦佐に到着。200系乗り納めの2013年1月以来(記事)、越後湯沢より北側に来るのは初めてである。

典型的な上越新幹線の中間駅スタイルで、雪対策のために上屋があるだけではなく柱がズラリとあるので通過・停車に関わらず撮影には全く向かない。越後湯沢もそうだったし、以北の長岡・燕三条も同じ。上毛高原は上屋があったが柱はなく、降雪量の違いで変えているのだろうか(上毛高原は群馬県、他は新潟県)。

しかし、駅の前後はトンネルもないし架線中など障害物も少ないので、ホーム端のフェンス越しにカメラを向ければ撮影は十分可能であることを確認。写真はホーム新潟寄りから上りE2系を撮影したものだが、編成の後ろまで入っていないので(右上にフェンスも写ってしまった)、もう少し右から撮影したほうがよいかな?などとポジションを確認。浦佐駅到着後から1往復目の「現美」上りが来るまで時間があまりなく、根本的に運転本数が少ないので他列車による練習もできず(このE2系しか来てない)、ほぼぶっつけ本番でターゲットに挑む。緊張する~

キター!!まずは1往復目の上りを撮影。白い車体が多い新幹線の中でも「現美」は黒主体と異彩を放っており、露出をいつもより上げておいたが、これ見る限り必要なかったかも。前面は光沢が強く空模様を反射してしまった。幸いなのは停車列車(「現美」は各駅停車で運転)なので速度が遅く撮りやすいこと。シャッタースピードがそこそこでよいのは助かる。

東京寄りのホームエンドで、前述の新潟寄りも同じような感じ。フェンスの隙間を使うほか、写真の位置からズームしてフェンスや上屋の柱を抜く方法もある。

下り列車は案の逆光になってしまう。この写真はフェンスの中央あたりから撮影したが、E2系では編成全体が入らないものの、8両目くらいまでは入っているので、ミニ車両6両編成の「現美」ならば十分に収まりそうだと判断。

E2系と同じ画角で2往復目の「現美」下り列車を撮る。編成はきれいに収まったが、逆光により顔がテカり気味に。こちら側の側面(海側)はほとんどの窓が埋められているのがわかる。
さて、この列車が新潟から折り返してくるまでに1時間半以上あり暇なので・・・


浦佐駅の様子を。東側(上)と西側(下)、駅前にはローカル感が漂う。とはいえ、東海道新幹線ですら米原とかは大概だったりするし、ローカル感がある新幹線駅は他にもあるっちゃあるのだ。
しかし、この駅の東側国道沿いにはかの田中角栄先生の銅像もあり(写真には写ってないが、上りホーム東京寄りから見ることができる)、諸説あって筆者には真実はわからないけども、ここが「政治駅」と揶揄されるのもやむなし、という光景ではある。

「現美」の宣伝に余念がないコンコース、分不相応なくらい広いが乗客はほとんどいないのでひっそりしている。同業者も終始いなかった。誤算だったのは改札内には売店すらなく、今回は新潟まで自由席券買っているので改札から出ることができず、食料の調達ができなかったこと。昼食はとりあえずお預けという事態に・・・

冷房が効いた待合室で空腹に耐えつつネット見て時間をつぶした後、2往復目の上り列車を狙う。1往復目とは異なり、フェンスから少し離れて300mm以上のズームで狙ったところ、顔もテカらず塊感もいい感じで撮れた。「出」が五月蠅いのと暑さゆえに後ろの方が陽炎になっている以外はこの日のベストショットだと思った。




この列車は通過待ちのために5分程度停車する。6両編成程度であれば余裕で全号車の形式写真を納められる時間だが、「柱の邪魔さ加減」は言葉にする以上のものがある。形式写真も手前側の柱を避けるために号車ごとに画角が変わってしまうし、そもそも奥側の柱だけは避けようがない。他の中間駅(長岡・燕三条)も同様なので、「現美」の形式写真撮影は通常運転時では事実上不可能といえる。

こんな感じだったら、柱を意識させない絵にはできるんだが・・・全体的に派手な印象の「現美」であるが、ロゴといえるものは先頭部のこれくらいで案外シンプルである。

先ほどの列車が隣の越後湯沢から折り返して3往復目となる「とき455号(下段)」にいよいよ乗車する。ここでは特に「現美」であることは表示されないが(案内放送では「現美新幹線で運転」といっている)、自由席12~16号車はまさに11号車スタートのE3系のそれで、他の上越新幹線を走る車両では見られない。

乗車目標も専用のものが掲示されている。今回は下り方面の先頭車となる16号車から乗車することに。なお、浦佐から乗車したのは筆者のほかにもう1人いるだけだった。

デッキ部の案内図。「世界最速芸術鑑賞」・・・まあ、世界でもこれしかないだろうから確かに最速ね(苦笑)。車内アナウンスが「ご乗車」ではなく「ご来場ありがとうございます」というのが印象的。これはあくまでも美術館なのだと。
自由席で乗っていることもあるが、そもそも車内徘徊してナンボの車両。復路で撮ったものとまとめて紹介する。筆者は美術に関してはまったく無知なので、そっち方面からの内容はご勘弁を。

最初に乗った16号車は壁のモニターで意識高そうなCGを延々と流していた。そのため、この車両はブラインドが下がっていて薄暗いのがデフォである。E3系先頭車は前方に客用扉がないので、奥に写っている扉の向こうは運転室となる。

15号車はガラスケースの向こうにカラフルな切り絵のようなものが上下から糸で張られていて、車両の揺れに合わせて動く。カラフルで見ごたえがあるせいか、往復通してこの車両が一番人気だった気がした。

ただし、陽が差し込むと暗い感じになってしまうため、トンネルが連続する越後湯沢~長岡間で見るのがいいかも。夜ならどうかと思ったが、今のところ「現美」は夜間運転がない。

14号車は新潟県をテーマにした写真を展示。

11号車と13号車以外は座席がソファ仕様になっている。自由席扱いなのでどこに座るのも自由。美術館の休憩場所みたいなイメージだろうか。

13号車はカフェになっていて、新潟県内の有名なカフェのコーヒーやケーキ類を購入できる。新幹線の供食設備はとうの昔に絶滅しており、売店・自販機はおろかワゴンサービスまで一部列車では省略されつつある中、「とれいゆ」と並んで貴重な存在である。また、カフェの向かいにも絵画が展示されているのがわかる。

少しブレてしまったが、カフェの前にはテーブルと座席がある(前の写真でお子さまが座っている位置)。4人分しかないが、カフェカウンターとともに設置されている以上はかつてのビュフェ車以来の「れっきとした」供食設備といってよいだろう。「現美」のように乗ることを目的とした車両だからこそできた芸当だ。

カフェ前のテーブル席はレアスペースとなるが、コーヒーもケーキもテイクアウトスタイルなので車内のどこでも飲食可能。ブルーの紙ナプキンは専用品。今回は「ツバメアイスラテ」「米粉バニラケーキ」「佐渡レモンケーキ」を購入。ケーキ2つも食べるのかって?、浦佐で昼食にありつけなかったんでね・・・バニラケーキが非常に美味だった。

カフェがある13号車は半分がキッズスペースとなり、ここでプラレールで遊ぶことができる。500系にもプラレールカーがあったがそれ以来か。壁のオブジェも展示物となっている。また、この号車だけは窓が海側に開けられている(他は山側が窓)。

12号車は鏡張り。車内が広く見えるのが面白い。

「現美」のソファは通勤電車のロングシートよろしく車窓を簡単に楽しめないが、この号車は鏡のおかげである程度は車窓を見ることができる(カメラ構えているのは筆者です)。この車両は15号車とは逆でトンネルに入ると車窓が見えなくなってしまうから、トンネルがない長岡~新潟間で乗るのがいいかもしれない。

上越新幹線はトンネルだらけなイメージがあるが、長岡以北はトンネルがなく、こんな感じの一面水田という景色も見られる。他の新幹線では見られないほど広大で、そりゃここで速度試験とかやるよな、って思った。

シックにイメージチェンジされた12→11号車の通路を見通す。

11号車は元グリーン車で「現美」では指定席車となる。座席やカーテンの生地は張り替えられているが、基本的にはグリーン車時代の車内から大きく変化しておらず、原形を留めていない他の号車と一線を画している。このあたりは「とれいゆ」の11号車にも共通している。
「現美」は乗車時間が短く、展示見学で車内を回遊する性質のため指定席車のメリットがあまりないように思える。そのためか、往復ともにガラガラだった。

浦佐からわずか40分程度で新潟に到着。上越新幹線を乗り通したのは今回が初めてである。仙台とか名古屋あたりの距離で終点になるわけだから、新幹線としては短い路線だと改めて感じた。

新潟駅は2面4線となるが、「現美」は残念ながら外側のホームに停車となり形式写真の撮影はできない。上屋付きにしては天窓があって明るいし、中央2線への停車だったら形式写真の撮影には十分だったのだが・・・残念。



それにしても、ホームにいるだけでこの存在感はすごい。特に一番下の15号車は車内の展示品を含めてかなりのインパクト。今度トミックスから出る「現美」は車内は再現されないとのことだが、これは改造して室内灯入れたくなる気分。

新潟駅に限った話ではないが、「現美」用の停目は「秋」と表記される。E3系は秋田新幹線からは撤退した車両であるが、現場的にはいまだに「秋田新幹線型車両」みたいな扱いなんだろうか。ちょっと面白い。


「現美」はその見た目や車内の派手さに反して乗車ハードルは非常に低い。運用だけで見れば越後湯沢~新潟の各駅停車の「とき」でしかなく、当日の自由席で乗ることができ、運転日は土日中心とはいえ3往復もありシャトル便の様相を呈している。満員まではいかないが、撮影時に外から見てもそこそこ乗っている感じがしたし、自分が乗車した列車も同様。案外、ただの移動手段として使っている人もいる・・・かな?
新潟では「現美」を降りてすぐに改札を出て再入場。新潟は初めてだったのに速攻でホームに逆戻りである。メインサイトの九州遠征記事でも同じことを書いた気がするが、たまには観光でじっくり来たいものである。新潟に着いた「現美」はそのまま折り返しの清掃を実施した後、本日最後の運用として越後湯沢に向かう。今回は時間的にベストだったので、復路も「現美」に乗ることにしたわけだ。

復路は新潟からフル乗車で越後湯沢に到着。所要時間は長岡での退避も含めて50分ちょいといったところ。越後湯沢でも外側の線に停まるので、今のところ「現美」の形式写真撮影は正攻法では不可能といえそうだ。下回りは「こまち」時代から変わっていないと思うので、上部のディテール撮影だけでも十分といえば十分だが・・・
この写真を見て改めて思ったが、「現美」は正面からだとまっ黒であまり映えないね・・・側面の派手ラッピングあってこその「現美新幹線」なのかもしれない。新潟と異なり、壁が横に来てくれたおかげで逆光は免れたようだ。

パンタカバーも逆光が抑えられたので撮る。ここも「こまち」時代から変化はない・・・ということはトミックスのはまたしても実車と異なることに。

「そして誰もいなくなった」越後湯沢駅・・・といっても、現美を降りた乗客は後続の「とき」に乗るために奥の方にある待合室にいるんですが。しばらくして「現美」は回送列車となり新潟方面に引き上げていった。

東京方面には長大トンネル「大清水トンネル」が覗く。200系乗り納めのときは雪がすごかったが今回は夏。30分ほど待った後、E2系J75編成の「とき」で帰路につく。東京駅に着いたのは20:00近く。新幹線の「乗り」自体が久しぶりだったこともあるが、なかなか充実した1日だった。
「とれいゆ」「現美」も撮った・・・次はいよいよ500系EVAか!?10月に博総イベントがあるが、遠い&高いのではたして・・・