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トミックス N700S確認試験車(J0編成) レビュー

2019年6月、トミックスよりN700S確認試験車(J0編成)が発売された。

●98670 JR N700-9000系(N700S確認試験車)新幹線 基本セット 21,500円
●98671 JR N700-9000系(N700S確認試験車)新幹線 増結セット 20,800円


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N700Sは東海道・山陽新幹線向けの新型車両で、2018年3月に「確認試験車」J0編成が登場した。現在は各種試験を行っており、2020年度に量産車が営業運転を開始する予定である。N700SのSは「Supreme(スプリーム、最高の)」からのもので、N700S系とはいわないし、かといってN700系〇〇番台でもなく、それでいて新しい形式番号が割り振られているというこれまでにない扱いになっている。

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編成記号は300系で使用されていた「J」。現在試験走行を繰り返している確認試験車はJ0編成となる。

基本的にはN700系を発展させたような車両で、特に見た目は先頭形状以外はほとんど変わらず新形式といわれてもぱっとしない部分もあるが、走行機器類は新形式と呼ぶにふさわしいほど大幅に刷新されている。従来のN700系、700系は4両で1ユニットを構成していたが、N700Sでは機器類の小型化で2両1ユニット化しており、JR東海では「標準車両」と呼んでいるが、同じく2両1ユニットだったかつての0系のように柔軟な編成構成に対応できるとしている。

同車は16両編成で落成しているが8両編成に組み替えての試験も行っており、東海道新幹線のみならず山陽新幹線や九州新幹線の500系、700系、800系の置き換えも想定していると考えられる。リニア開通後に東海道新幹線の利用客が減ったとしても16編成からの減車が容易になるし、東海道・山陽新幹線で行う予定はないものの360km/hの速度試験も実施しており、海外への売り込みも想定。まさに高汎用性の「標準車両」とえるだろう。

さて、そんなN700Sの模型がトミックスより発売された。プロトタイプは当然、現在それしか存在していない確認試験車J0編成で、N700Sが営業運転に入る前に発売されたことになる。ただ、トミックスはN700系の時も先行量産試作車Z0編成を先立って発売、量産車が登場すればそちらも発売しており、今回も同じパターンを踏んだだけだといえる。したがって、N700Sも今後量産車が発売されることは既定路線だ。

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N700系ではZ0編成や3000番台(N編成)はスターターを意識した3両基本セット+増結セットだったが(最近3両基本セット自体やらなくなった気が)、今回は基本セット8両+増結セット8両のシンプルな構成。ウレタンは先日発売の700系0番台と同じくパンタの位置を調整できるタイプが採用され、16両編成を号車順に収納することができる。

製品名は「N700-9000系」となっておりZ0編成とかぶりそうな気がするが、Z0編成の製品名は「JR N700系 東海道・山陽新幹線(Z0編成)」だったので、とりあえず重複していない。量産車の製品名が気になるところだが・・・

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付属品はこれだけ。基本と増結にそれぞれ同梱されている。

インレタは形式番号が同じく印刷済みだったN700系Z0編成と似た構成。ただし、前面窓の編成番号と禁煙マークは印刷済みになったので含まれない。Z0編成は営業運転に用いられることはなかったが、N700系では唯一喫煙ルームがない(とされている)ため、禁煙マークが貼られていない車両が存在した。

左はパンタ車の車端部に取り付ける投光器のパーツ。これはZ0編成の付属品と同じものだ。

最近の新幹線模型はバリエーション展開が主だったので、久々に新しい先頭形状の製品が出たといえる。なので、先頭部は少し詳しく見ていこう。

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「デュアルスプリームウイング」という先頭形状はなんとなくLMPクラスのレーシングカーを思わせる稜線を両側持っていて、このためにヘッドライトに至るまでのサイドラインが水平に近く、ここはN700系との大きな差といえる。3段になった青帯もこれまで以上にスピード感を演出している。

模型ではこれらをひっくるめて忠実に再現。造形についてはトミックスは本当に安定しており、まったく問題ないと思う。

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ライティングを変えてみると「デュアルスプリームウイング」の特徴である両サイドの稜線がよくわかる。

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模型はフォーカス合わせがきつい・・・ヘッドライトがきちんとノーズの造形に収まっており精度の高さがうかがえる。

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非常に小さいにも関わらず、3次曲面の中にある複雑な形状のヘッドライトも見事に再現。ノーズカバーの分割線からの距離感も含め、まったく破たんが見られない。

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模型のヘッドライトはややツリ目気味だが、正面からの見た目もいい感じだ。サイドから回り込んでいる青帯が眉毛みたいに見えるのも忠実に再現。

ところで模型の正面の写真、撮影に使用しているパナソニック「DC-TX2」の「フォーカスセレクト」という機能を使ってみた。画面各所に片っ端からフォーカスを当てながら連続撮影し、後からピントが合っている画像を選択できるというもので、合っている各ピントを合成して画像を出力することもできる。ロングノーズの車両でも先端から後方までピントが合った写真を作成できるという寸法だ。画像の継ぎ目が不自然になる事も多くてあまり多用はできないものの、上の写真は上手く撮れたので採用した。

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N700系Z0編成と並べてみる。スマートなN700系に対し、N700Sは幅広でいかつい感じ。

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1つ上の写真のような構図だとN700系の方が先端が細く見えるが、真上からに近い構図で見ると寸法的にはほぼ変わらないことがわかる。ヘッドライトの形状の違いにも注目。

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前面窓はN700系と同じパーツを使っているようだ。内部のコクピットパーツも同じ。N700SとN700系の先頭形状の違いはノーズ部分に集中していることがわかる。Z0編成では前面窓の編成番号の印刷がなくインレタ対応だったが、今回製品は「J0」が印刷済みになった。

また、この写真からもサイドの青帯がN700Sではかなり前方に伸ばされたことがわかるだろう。

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N700系でも一部編成が装備しているセンサー窓はN700Sでは1号車山側、16号車海側にあり、模型でも目立ちにくいながらも印刷で表現再現されている(乗務員室扉の少し前方にある黒い小窓)。モールドにすると量産車の時に困るし、500系のセンサーも印刷だったので特に問題はないだろう。ドクターイエローがモールド表現にできたのはその編成しかないからである。

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青帯が3段になった以外、この部分の見た目はモールドの強さを含めてN700系から変わっていない。

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実車の方はがっつりホームドアに邪魔されてしまっているが、1号車後位もロゴマーク以外はN700系と同じである。確認試験車はこれだけなので車番は印刷済みだが、量産車ではインレタから選択する方式になると思う。号車番号、禁煙車マークも印刷済みで、N700系と同じく綺麗に印刷できている。

屋根上の検電アンテナ、実車は見慣れない形状のアンテナを装備しているが模型は標準的な形状である。実車はテストのためにパーツを変えまくるので、筆者が撮影した時はたまたまこの形状だったというだけである(16号車は標準的な形状だったし)。したがって、模型が間違っているわけではない。

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N700Aと同様、ロゴマークは奇数号車に貼りつけられよく目に付く。従来のN700系と比べると柔和なロゴマークだと思う。

ただ、砂絵みたいになってしまって印刷クオリティがいまひとつなのは気になった。離れて見る分にはそれほど問題ではないし、写真は異常に拡大している事も確かだが、これまでのトミックスは印刷が少々悪いと思ったものでも、シャープさだけは譲らないと思っていたので。量産車登場後に発売するあろうカトー製品がどうなるかわからないが、かつては印刷では劣っていたカトーも力を付けてきている。この状態では印刷は負けてしまってもおかしくない。

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9号車はロゴマークが行先表示機をよける配置になっているので、海側(模型の側)は車端側に、山側(実車の側)は客用扉側にそれぞれオフセットされている。模型でもそのあたりは忠実に再現しているし、グリーン車マークなどの印刷クオリティも従来通り高い。それだけにロゴマークのザラザラ感は本当に惜しまれる。

一見同じように見えるN700SとN700系の側面だが、改めて模型を見比べ、そして実車も確認すると結構差があることに気づく。

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まず、N700Sは3号車の両側、15号車の海側に喫煙ルームの窓がない。実車写真はN700系になるが、3号車車端にある小窓がN700Sにはないことがわかる。確認試験車なので該当部分に喫煙ルーム自体がない可能性もあり、量産車では復活する可能性もあるが実際のところは不明だ。

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11号車の山側にある多目的室の窓がグリーン車と同じサイズに拡大されている。N700系では普通車の大きさで正方形に近いものだった。

また、N700Sでは客用扉下部の横にあったドア点検ハッチが廃止されている。N700系ではハッチがある箇所とない個所があり、さらにその位置がZ0編成と量産車で異なっている有様だったが、N700Sではそういうことはなさそうだ(量産車で復活しなければだけど・・・)。

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実車においてもN700系とN700Sでは車体断面が微妙に違っているが、模型でもきちんと再現されている。奥がN700Sでより四角い形状になっている。ボディがすべて新規制作とはいえ、よくここまで再現したなと驚く。

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窓配置がN700系と同じ号車が多いので、窓ガラスパーツはさすがに流用しているだろと思いきや、これも新規パーツのようだ(左がN700S)。ただし右のN700系はZ0編成なので、同社のN700系では最も古い製品である。その後の量産車製品や再生産によりパーツが更新された可能性はある。

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N700Sでは高圧線が屋根内に潜ったので屋根上がスッキリしているが、E5系等と異なり車端では従来通りジョイントでケーブルを露出させて渡している。これらは模型でも再現しているがジョイント形状は全号車同じ。もっとも、N700SにはN700系にあった一部車両の大型ジョイントがあるかどうか不明なので、完璧に再現できているかは判断しかねる。

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2・15号車の屋根にはパンタ及びパンタカバー取り付けの準備工事がされており、実際8両編成のテストではパンタが搭載されたこともあるが、こんなところもモールドで再現されている。確認試験車ならではのものであり、量産車製品ではおそらくボディが差し替えられるはずだ。

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パンタグラフは似ているがN700S(右)は上部のカバー形状が異なり新規パーツであることがわかる。パンタ支えるガイシの数もN700系の2本から1本に変更されている(写真に見える範囲の話で、パンタ全体では3→2本に変更)。

また、パンタ下部を覆う前後がスロープになっている「ガイシ覆い」もN700Sでは僅かに幅が狭くなっていることがわかるだろうか?これは実車においても同様に変更された箇所であり、一見わからないにも関わらず忠実に再現。車体断面ともども、これはグッジョブだ。

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ヘッドライトの光量は十分明るく色味も全く問題ない。ただ、N700系と同様に「ヘッドライト全体が光るだけ」であり、見る角度によっては先端側が光って見えるのも変わらない。カトーのN700系はヘッドライトが非常に凝ったものだったが、N700Sはどう出るのだろうか。

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N700S(左)とN700系(右)では室内灯の保持部分が異なっており、室内パーツは新規であることがわかる。また、可動幌も一見同じに見えるが前述の車体断面変更の関係で新規パーツになっている(可動幌パーツ上部の厚みが違う)。一方、特に変える理由もないので当然だけど、座席パーツは同じパーツを使用している。

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写真小っさ・・・床下は新規制作されたもので、ここに至ってまでZ0編成の床下流用はさすがにやらなかったようだ。先頭車は新規にせざるを得ないとしても、ダクト形状をZ0編成に合わせるだけで中間車はすべて流用してきても個人的にはまったく驚かなかっただろうが、それはさすがに見くびりすぎか。

中間車は写真の2パターンしかないが、実車においても雑誌の形式写真を見る限りはこの2パターンだけのようだ。細かなハッチの有無の違いやパネルの分割線差はあるかもしれないが、同じく中間2パターンで済ませていたN700系と比べたら(少なくとも確認試験車では)忠実に再現されているといえる。実車の機器構成がシンプルになったことに救われたともいえるが、メーカーにとっても仕事が楽に?

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台車はN700系と同じ、両端の空気ばねが削られている点も同じだ。一応、集電板が改良され車輪の転がりがよくなったとのこと。写真ではわからないけど・・・

台車カバーは分割線2本のタイプで実車の中間車では2・7・8・ 9・10・15号車が該当するが、分割線1本タイプの方が数は多い。いずれにしても実車とは異なってしまうがここを作り分けていないのはカトーも同じ。トミックスのN700系製品(S・R編成除く)はすべてZ0編成の分割線なしタイプだったことを考えたら、マシになったと考えていいのかもしれない。もちろん、確認試験車としての話で量産車製品がどうなるかはわからない。

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カプラーはフックリング式からフック・U字式に変更された。左はZ0編成となるが、新幹線では通電カプラー初採用の製品である。それからすでに10年以上を経過した現在、トミックス新幹線はフック・U字式が主流になっている。

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連結部の印象もN700系からまったく変わっていない。

●総評

特徴的な先頭形状はもとより、パンタのガイシ覆いとか車体断面形状とか、言われなければ分からない個所も手抜くことなく再現、単にボディ・床下を新規制作しましたという以上に、N700Sの確認試験車を忠実に再現した製品であることは間違いない。そのおかげで、一見同じに見えるN700系との差異に気づかされる箇所も多々あり、実に勉強になる製品でもあった。

予想以上に新規率の高い今回製品だけど、先日発売の700系0番台もボディ・床下が新規制作ながら基本設計は従来の700系製品に準じていたように、今回製品も基本的には従来のN700系と同じである。

したがって、各種造形や窓ガラスの精度感とか良いところは引き継いでいる一方、無難すぎて「すげえ」と思えるギミックもない。床下がよくなったと思えばロゴマークの印刷は悪くなるなど「プラマイゼロ」な点もあって、とにかく長所・短所とも同社のN700系製品のクオリティそのもので、進化も退化もしていない。その意味では今回も良くも悪くもガワがかわっただけという印象だ。

とはいえ、実車も見た目に関してはN700系からそれほど変わっていないし、N700SもN700系のバリエーションと考えれば差が出すぎてもそれはそれで問題があるかもしれない。細かな不満はあるとはいえ同社のN700系だって水準以上のクオリティは持っているわけで、そこから変わらないのも間違っていないと考える。

なので、トミックスの従来のN700系製品に特に不満がないのであれば、今回のN700Sでも不満が出ることはないと思う。あとは「確認試験車」というマニアックな編成に興味があるかどうかがポイントだろうか。後にカトーも含めて量産車製品が出てくるのは既定路線ではあるけれど、いち早くN700Sの模型を手元に置きたいならこの機会に入手しておくのが良いと思う。

あと気になるのは過去に100系、N700系でもあったことだけど、量産車製品が今回製品(確認試験車)に引っ張られて、実車と異なる部分がどこまで出てくるかだろう。N700Sは少なくとも外見上は完成されていて量産車との差はあまりなさそうだから、そこまで大きな違いは出ないと勝手に予想(願望)しているが・・・量産車製品の発売をカトーともども待ちたい。

p.s.
今年の前半は(トミックスばっかりだけど)わりと新幹線製品が多かったが、11月くらいまでの新幹線模型の予定は800系(スルー予定)しかないので、しばらく(お財布的にも)のんびりできそう。ブログの更新頻度が少し下がるかもしれないけどご了承のほど。

小田急ファミリー鉄道展2019

ちょっと時機を逸してしまったが(1ヵ月前って逸しすぎだろ・・・)、5月25日に行われた「小田急ファミリー鉄道展2019」のレポ。

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5月下旬にして30度越え。晴天もいいところだが、撮影のことを考えると曇りの方がよかった・・・

海老名で毎年行われる小田急の恒例のイベントで、当ブログでも何度かレポしたこともあるが、毎年10月に行われるのに今年はなぜか5月に急遽行われることになった(その理由は後で知ることになる)。イベントの開催を知ったのは数日前、しかも当日は季節外れの暑さだと聞いていたし、何しろ昨年10月からそんなに時間が経っていないから、今回はスルーしてもいいかな?とか思っていた。

しかし、告知で目を疑ったのが(公式的に)初代ロマンスカーである3000形「SE(SSE)」を展示するという情報。それも、普段格納されている専用の保存庫ではなく屋外、つまりいつもの展示車両コーナーで見ることができるという。保存庫内での展示というのは過去に何度かあったし(それさえもしばらく休止していたが)、屋外展示も2007年に実績があるがその時はロマンスカー50周年記念という名分があった。なので今回はいったい何があったのか!?と思った。

とはいえ、屋外展示されるとなれば12年ぶりのことである。筆者にとってはスルーできるはずもなかった。

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目玉の「SE」と同時展示されていた最新鋭ロマンスカー70000形「GSE」。こちら側(山側)は架線柱が多いな・・・

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海側は架線中はないものの、光線状態の問題で光が反射してしまった。奥に「SE」が見える。

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先頭部にはグッドデザイン賞のロゴが貼り付けされていた。数日前にはブルーリボン賞も受賞しているが、こちらはまだなんの装飾もなかった。

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晴天により光線状態が厳しいが、赤い車体に青空がよく似合う。

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一部車両には運用1周年ロゴが貼られていた。車体の映り込みから、人の多さがわかる。

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形式写真も何枚か。人多い+架線柱などの障害物+海側は半分くらい「SE」がかぶってるなどで全号車は撮れなかったが・・・

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模型では省略されていた(Nゲージには小さすぎる)フロントピラーのエンブレムにはグッドデザイン賞のロゴが追加されていた。

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それにしても、昨年の模型のレビュー前にこれだけ撮れていたらなと思う。昨年10月のイベントは引退する「LSE」がメイン展示で「GSE」は展示されなかったし、結局海老名や本厚木て慌ただしく撮るしかなかった。

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側面の「ローズバーミリオン」と屋根上の「ルージュボルドー」の違い。

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模型でも表現されていたが、側面にある微妙な段差がハイライトとなりアクセントになっている。ツライチになる乗務員室扉には段差があるが客用扉にはない。

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連結部にある衝撃吸収機能付きアンチクライマー。

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床下にある冷却用の空気取り入れダクト。こんなところ撮る人間はそうそうおらず、ディテール取り放題よ。

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そして今回の目玉展示である3000形「SE」。この車両より前にも「ロマンスカー」を名乗った車両は存在しているが、小田急の公式的にはこれが初代ロマンスカーとされている。1957年に登場し、当時の狭軌の世界最高速度145km/hの記録を持ち、その後の新幹線にも多大な影響を与えたといわれている。

当初は8両編成だったが、後に御殿場線乗り入れ対応改造で5両編成になり、電気連結器や後継の「NSE」と共通のヘッドマークが取り付けが行われ、この写真のような顔つきに変わった。江ノ島線沿線民だった筆者にとって「えのしま」号といえばこれだったので、個人的にも思い入れが大きい車両だ。もっとも、晩年は「えのしま」で使われることもなくなり、もっぱら「あさぎり」専用車として1991年の後継車両20000形「RSE」登場まで活躍していた。

「GSE」7両(連接車11両相当)に対し5両編成と短いので、こちら側は「GSE」と顔が並ばないのだった。

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ロープが入ってしまったが、ローアングルで撮るとスピード感があるスタイルだと思う。この写真からは感じにくいが、実はものすごい数の撮影者が背後にいる中での1枚である。

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レトロというか濃いというか・・・このゴテゴテ感。窓越しに見えるグレーの受話器が味ありすぎ。

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流線型ながらノーズはそれほど長くない。「MSE」の非貫通型(扉あるけど)の方が長く感じるくらい。

「NSE」「LSE」にも引き継がれた塗装だが、車体下部のグレーには後継車とは異なり白いストライプが入らない。代わりに側版にビードがあるのが特徴で、一昔前のステンレス車・・・小田急でいえば1000形、2000形あたりで見られるが、鋼製車では珍しいケースといえる。これは「SE」が高速化志向による軽量化を徹底しているためで、外板がそれだけ薄いということになる。

先頭部が乗務員室扉のみで客用扉がないのは「EXE」「MSE」も同じだが、「SE」は先頭車両にそもそも客用扉がなく、乗降は次位の車両からするしかなかった。この乗務員室扉もかなり小さく、身長172cmの筆者でもかがまないと通れない。2007年の展示では車内も見学出来て、出口がこの乗務員室扉だったのだ。

側面のサボには「御殿場-新宿」とある。「SE」時代の「あさぎり」号は御殿場線内では急行扱いだったが、「RSE」投入で沼津まで延伸され特急となった。その後は利用客低迷で再び御殿場まで縮小(種別は特急のまま)、現在は「MSE」がその任に就いている。

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連結部は連接車であるため台車を2両で共有していることがわかる。登場した時期もあるが空気ばねではなく、なんとコイルばねだ。連接構造もロマンスカーの特徴だったが現在では「VSE」に残るのみで、最新の「GSE」では一般的なボギー車になっている。

他にこの写真から見られる特徴として、客用扉が手動だったことが挙げられる。「SE」より前のロマンスカー(1910形、1700形、2300形)は自動だったので機構だけ見れば退化していることになるが、ドアエンジンすら載せたくないほど軽量化に拘っていたといえる。手動ドアは次のの「NSE」でも採用されており、開閉はアテンダントが行っていた。降車時にはアテンダントの挨拶も行われていたから、特に観光特急の演出として手動ドアとの相性は良かったのかもしれない。なお、「LSE」以降はすべて自動に戻っている。

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これも軽量化のためだと思うが客用扉と客室の間に壁がなく、いわゆる「デッキ」が存在しない。連結部の貫通路も広めにとられていて、車内全体の見通しの良さを重視した設計になっている。

「SE」では軽量化のほかに「低重心構造」で床下が低いのも特徴だ。客用扉部=ホームの高さからスロープで少し下って客室に入ることになり、ダブルデッカー車の階下席に比べたらカワイイものだが、座席に座ると明らかにホームが近くて床下の低さを実感できた。

客用窓は固定化されているが、これは1984年の更新によるものでそれ以前は窓を開けることができた。それもそのはず、登場時は冷房すらなかったためである(後に設置された)。

ここまで書いてきて改めて思うが、この車両はいろいろ規格外すぎる。先頭車に客用扉がないとか、今では認可されないんじゃないだろうか。

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3号車の喫茶カウンター部分。当時は「走る喫茶室」といって、ワゴンによる車販ではなく座席でオーダー&届けてくれるというものだった。1987年登場の「HiSE」では端末を用いたオーダーシステムまで導入していたが、その後は利用低迷でロマンスカーも一般的な車販になってしまった。観光ロマンスカー復古を目指した「VSE」では「走る喫茶店」システムを復活させたものの、長続きせず現在は車販のみとなっている。新幹線を含め、JRでは車販すらない特急も運転されている時代だ。駅の外でも中でもカフェには困らない現代、もう「走る喫茶室」が成り立つ時代ではないのだろう。

サボに「A号車」とある(2つ上の写真では「B号車」もある)が、これは重連運転時の座席番号重複を避けるための処置である。「EXE」「MSE」のように6両編成は小田原寄り、4両編成は新宿寄りと決まっているならよいが、「SE」の場合は2編成のどちらが前後に来るのかわからない。同じようなケースは新幹線のE4系でも見られるが、「SE」の時代にはLEDによるデジタル号車番号表示機などは存在しない。なお、「SE」の重連はあくまでも増車目的であり、分割併合運転は行っていない。

ところで、隣の車両には下部のグレーがなく塗装が違っている。どういうことかというと・・・

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こちら側は逆光がきつい・・・「GSE」と並べている顔つきが異なっているが、こちらは先頭部が登場時の原型に復元されている。次位の車両までは塗装も復元されているため、編成途中で塗装が変わっているのである。

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「SE」の原形、つまり御殿場線乗り入れ改造前は重連を行わないので電気連結器を装備しておらず、ヘッドマークも上で見せた「NSE」と共用するタイプではないから、改造後と比べてゴテゴテ感がなくすっきりした印象がある。窓枠がグレーに塗られているのも原形に忠実だが、復元されたのは顔と塗装だけで前述の客用窓固定化などは晩年のままである。

「SE」が登場した時代は電車といえば「茶色の1色で箱型」が幅を利かせていた時代。そこにこんなのが出てきたら、そらもうすごいインパクトだったろうって。今回の記事で扱いたかったのはこちらだから無理もないが、「GSE」よりも写真のキャプションが大幅に多くなっていて自分でも苦笑している。改めて規格外というか、ネタが多すぎるのだよこの車両。

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上の写真にもチラチラ写っているが、「SE」と同一線上に箱根登山塗装の「赤1000形」がいた。「SE」は自走できないし、この車両の前にもロープがあるからイベント中は封じ込め状態ということになる。かといって、パンフレットには展示車として記載もされていない。

実は「SE」をここまで牽引してきたのはこの赤1000形である。イベント後も推進運転で「SE」を移動させている。「SE」を動かす車両が必要ならば、イベント映えする赤1000形でということなのだろう。行先表示にある箱根湯本・片瀬江ノ島の分割列車はすでに存在しないし、赤1000形が用いられたこともなかった。こんなネタを盛り込んでいる時点で、どう見ても「事実上の展示車」にする気マンマンである(一応、赤1000形は過去に展示された実績はある)。

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また、こちらは本当に展示車ではないが、「EXE」と「MSE」の4両編成が並んでいた。あまり見られる画ではないせいか、撮る人も多かった。

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「MSE」はいったん出庫したがすぐ後に別の編成の「MSE」が入庫したので、少なくとも筆者がいた時間帯はずっと並んでいた印象だ。「EXE」の方はしばらくして3000形(「SE」じゃない)に前方をふさがれる形となり、ずっと動くことはなかった。

かくして、イベント会場を後にした。この後ゲームやるために隣の本厚木まで移動する際(ビナウォークのタイトーステーションは混んでたのよ)、空になっているであろう「SE」の保存庫を見ていたところ、その中にはなんと通勤車両の保存車(2200形、2600形、9000形)が格納されているではないか。本厚木から戻って来た際に再度見ても同じ。通勤車両がそこにいることも驚いたが、保存庫前のレールも撤去されていたから「SE」は再格納できないことになる。

これらの出来事は帰宅してからいろいろ調査したところ、2021年に海老名に建てられる「ロマンスカーミュージアム」に関わる準備の一環ということがわかった。

「SE」はこのイベントの直後に相模大野に回送されており、おそらくミュージアム収蔵に向けて・・・あまり考えたくないが、すでにアナウンスされている中間車2両の解体を含めた「お色直し」をするのだと思う。2021年にはまだ早い気もするが、収蔵車両はほかにもあるので完成までの工程を逆算すると「SE」はこのタイミングになったのだと思われる。海老名から相模大野まで移動させるにもいったん保存庫から出さなければいけないわけで、どうせならこのタイミングでイベントをやって「SE」も屋外展示してしまおう、という算段だろう。

そして、次に「SE」を見られるのはミュージアム完成後であり、5両編成の状態で陽の下で見られるのはこのイベントが最後だったということである。その意味では来て本当によかったと思っている。

また、前述の通勤車両3両については、もともと喜多見に保存されていたが手狭になったという理由で相模大野に移動しており、さらにこのイベントの数日前に海老名に来て主がいなくなった保存庫に格納されることになった(「SE」はその前に出庫していてイベントまで検修庫で待機)。この3両はミュージアムに収蔵される予定はないが、この保存庫に格納しておけば営業線の邪魔にはならないし、「SE」がそうであったようにイベントに出すことも可能だろう。個人的にはこれらもミュージアムに常設展示してほしかったけど(特に9000形は好きなので)、いい落としどころになったのではないだろうか。

トミックス 700系0番台(C編成) 行先表示機エラー車両が無償交換対応

2つ前のトミックス700系0番台のレビュー記事で、8号車と12号車の行先表示機が他の号車よりも小さいというエラーがあると書いたが、公式よりこの2両を無償交換対応するとの発表があった。

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上がエラーの行先表示機、下が正しい形状。大きさが異なり、8号車と12号車が上の状態に該当する。

詳しくは公式を見てほしいが、問題の2両が含まれる増結セットをメーカーに送付すれば7月末以降より行先表示機が修正されたボディに交換してくれるとのこと。せっかく16両を編成順に並び替えた後で増結セットの製品状態に戻すのは面倒だが、たとえば9~16号車のうち12号車以外のどれかを8号車と入れ替えて送るとかでも(要は問題の2両が1つのブックケースに収まっていれば。その旨文面は同封した方がいいかも)よいと思うし、筆者もそうするつもりだ。

それにしても、今回リコール対応はまったく想定外で驚いた

今回の件はパーツ流用による実車との違いではなくエラー(ミス)だと思っていたものの、対応するならボディ無償交換、つまりメーカー持ち出しの金型改修になるわけで、リコール対応は絶対ないと思っていた。それは無責任なことではあるけれど、たとえ闇改修といわれようとも今後の「さよならセット」や再生産で修正するあたりが「現実的な落としどころ」だろうと。

それがまさかの無償交換。まあ、その車両を特徴づけるポイントでの金型設計のエラーというのは珍しいと思うし(少なくとも新幹線模型では筆者の記憶にはない)、さすがに放置はできなかったということか。今回はアンケートが入っていたので、ユーザの声(不満)が届きやすい環境であったことも一因なのかもしれない。筆者も送ったしね(もちろん当サイトの管理人ではなく一個人としてよ?)。

いずれにしても、メーカーの誠意は大いに感じたし納得した。ここはありがたく交換させてもらおうと思う。

トミックス E3系1000番台新塗装レビュー

2019年5月、トミックスよりE3系1000番台の新塗装が発売された。

●98669 JR E3-1000系山形新幹線(つばさ・新塗装)セット 22,400円

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山形新幹線の新庄延伸に伴い、すでに秋田新幹線「こまち」として活躍していたE3系を山形新幹線向けに仕様変更して導入したのがE3系1000番台である。延伸開業した1999年にL51・52編成、2005年にL53編成が増備された。山形新幹線の車両としてはあくまでも「純増」であり、既存の400系の置き換えは目的としていない。

L51・52編成は「こまち」用でいえばR17編成以前の「前期型」と同期であるため、それらに続くように新塗装化もされることなく廃車となったが、L53編成はR18編成以降の「後期型」であり車歴も若いことから新塗装化されて現在も活躍中である。L51・52編成の代替車両については、E6系導入により余剰が発生した「こまち」用のR18編成以降の一部編成を山形新幹線向けに改造して充当することになった。

R編成は6両編成であるのに対しL編成は7両編成となるため、いわゆる「ニコイチ」で転用改造することになった。具体的にはR23~26編成のうち、R24編成とR26編成の14号車を抜き、R25編成とR23編成の12・13号車を挿入し7両編成化したうえで、既存のL編成(L53編成、L61~72編成)と設備等を揃える改造を行い、R24+R25編成がL54編成、R26+R23編成がL55編成となった。番台区分は1000番台としてL53編成から連番になっている。

この手の「他の編成から車両を持ってきて改造・改番」というのは0系・200系にはよく見られたが、最近の新幹線車両では非常に珍しいケースといえ、基本的な見た目はL53編成と同じながら、改造転用車らしく一部に「こまち」時代の面影が残っていたりもする。なお、時期的にL54・55編成は当初より新塗装で登場しており、1000番台で新旧両方の塗装を纏ったのはL53編成だけということになる。

さて、2000番台の新塗装はカトー・トミックスともにすでに発売されているが、今回紹介するのは「1000番台の」新塗装の製品である。前述のとおり相当するのはL53編成と改造転用車のL54・55編成となるが、発売発表時から公式にはどちらになるかは言及がなく、発売日まで待たなければならなかった。筆者は既存の1000番台製品を塗り替えただけのL53編成になると予想していたが、14号車のボディを12号車のボディに入れ替えるだけで簡単に再現できたせいか、実際に発売されたのはL54・55編成だった。

今回製品がL53編成だったらスルーするつもりだったが、新たなバリエーションとなるL54・55編成ではそうはいかない。発売当日に確認後、そのまま購入することになった。そして、レビュー記事もこうして書くことになったと・・・

毎度のことだけども、「基本的に従来製品と同じ」ということはメインサイトのレビューに大部分書いてあるということで、そちらも参考にしていただけると。今回も主要部分だけの紹介なので、前置きの割には小規模な記事にとどまっていることはご容赦を。

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2000番台の新塗装は基本+増結セットだったが、今回は7両1セットのシンプルな商品構成となっている。付属インレタはプロトタイプ通りL54・55編成が収録され、L53編成は含まれていない。

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左が2000番台、右が今回製品の1000番台。正面から見た差異はヘッドライトの形状くらいで、その他基本設計は既存のトミックスE3系そのものである。塗装についても色合い・塗り分け位置・光沢ともに2000番台から変化はない。

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11号車後位を見る。上が1000番台(今回製品)、下が2000番台。

メインサイトでも書いたが、2000番台では客用扉左側にある車掌室窓の位置が修正されているが、今回製品は従来の0・1000番台のボディをそのまま使用しているため車掌室窓が少々客用扉寄りで、グリーン車マークの周辺がやや窮屈な感じになっている。客用扉右側の多目的室の窓位置にも差異がみられるが、これは実車どおりで2000番台では若干車体中央寄りになっている。

少々見づらいが、床下のダクト形状にも差が見られる。トミックスのE3系は発売時期的に前期型の小型のものになっており、そのボディを流用している以上、後期型がベースのL54・55編成においては実車と異なっている。一方、2000番台についてはボディが新規制作されているため実車どおりになっている。

ロゴマークについては印刷クオリティはそのまだが、1000番台では若干上方に印刷されている。個体差かと思ったら11号車山側、16号車両側についても上方寄りになっているのでどういうことかと調べてみると・・・

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実車も1000番台(上)はロゴマークの位置が高いのだった。したがって、忠実に再現した結果の差異と考えてよさそうだ。画角が違うのであれだけども、前述の多目的室窓の位置についても差異がわかる。

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上が1000番台。今回製品のプロトタイプであるL54・55編成の特徴として、別の編成の12号車(身障者対応車)を14号車として持ってきた関係で客用扉が広くなっている。模型でも12号車のボディを14号車にも使うことで再現している。一方、下の2000番台では通常の幅になっていることがわかる。転用改造にあたり14号車は身障者対応座席も交換されており、いわば「扉の幅が広いだけの普通車」になったので身障者対応マークもついていない。身障者対応は従来通り12号車が受け持っている。

しかし、L54・55編成のもう一つの外観上の特徴、14号車のパンタカバーは「つばさ」仕様に改造されたが12号車は「こまち」仕様のまま、については再現されていない。トミックスのE3系は過去作すべてのパンタカバーが「つばさ」仕様なので、そもそも「こまち」製品の時点で実車と異なっており、今回製品の12号車もやはり「つばさ」仕様になってしまっている。現美新幹線もそうだったし、仮に「とれいゆ」が発売されても同じ結果になるだろう。

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自由席となる16・17号車については(写真は17号車)、1000番台(上)は2000番台(下)よりも客用窓の数が1つ分多い。1000番台は自由席車のシートピッチが狭く、指定席車よりも座席が1列多いからである。一方、2000番台は普通車全車でシートピッチが統一されている。

●総評

基本的には従来製品の流用&塗装変更程度なので、製品のクオリティ自体も従来のE3系製品と変わらない。パンタカバーは従来通り「つばさ」仕様のまま、ダクト形状も前期型のままというのは実車と異なっているけども、ボディを含めたパーツの新規制作が一切ない(するはずもない)とすれば「想定内の実車との違い」ではある。あとは、そこを許容できるかどうかかな。

とはいえ、あえてL53編成ではなくL54・55編成に仕立てたのは個人的には面白いと思った。ボディを入れ替えるだけで再現できるという、メーカーにとってお手軽な動機なだけだったのかもしれないが、E3系の新たなバリエーションが増えたことは歓迎したい。従来製品と同様に併結運転もできるので、同社のE2系1000番台と組み合わせて楽しみたい。

トミックス 700系0番台(C編成)レビュー

2019年4月、トミックスより700系0番台(C編成)が発売された。

・98667 JR 700 0系東海道・山陽新幹線(のぞみ)基本セット 21,600円
・98668 JR 700 0系東海道・山陽新幹線(のぞみ)増結セット 20,900円

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700系0番台は「C編成」と呼ばれ、JR東海が所有する編成である。2020年3月には引退することになっていて、2019年4月時点においてはもはや風前の灯火となっているが、今回紹介するのはそんな「末期の時期」に発売されたトミックスのC編成製品だ。

トミックスからこれまで700系の製品は出ていたものの、7000番台(E編成)、3000番台(B編成)といったJR西日本所有車の製品だった。一方、C編成はカトーからすでに発売されていたため、おそらくバッティングを避けていたのだと思われる。しかし、実車の引退が迫ってきたし、これまで東海道新幹線系統の「さよならセット」を出し続けてきた同社。ついにC編成を発売することとなった。

カトーと同じC編成といっても、カトーがC2~11編成の初期車がプロトタイプなのに対し、今回のトミックス製品は客用扉窓が高くなった中期型以降のC33~54編成がプロトタイプなので厳密にはバッティングしていない。カトー製品は1999年末、実車登場より半年余りで発売されたため(実に20年近く前の製品である)、当時最新鋭だった700系を製品化するなら必然的に初期型になったわけだけど、トミックスは引退間際の製品化なので残存している中期型以降になったというのは、なかなか感慨深い経緯だと思った。

カトーのC編成が1999年、トミックスのE編成が2003年、B編成が2006年。700系としては約13年ぶりの新製品、はたしてどのようなものになったのか。ちょっとだけ結論を書けば、基本的には従来のトミックス700系の延長線上にある製品である。したがって、メインサイトの700系レビューの内容も参考にしていただきたく思う。

・・・かくいう筆者も、自分で書いたレビューを大いに参考にして今回の記事を書いていたりする(苦笑)。

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基本セット8両+増結セット8両というシンプルなセット構成。写真は編成順に並び替えた後のもの。

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ウレタンはパンタ車の位置に応じて柔軟に変更できるものになっている。したがって、きちんと編成順に16両が収納できる。筆者はやらなかったけど、山側をこちらに向ける収納もできそうだ。

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先頭形状はトミックスの従来の700系ファミリとまったく同じだ。左からドクターイエロー、E編成、B編成、C編成(今回製品)、初出は古い製品ながらも造形は非常に優れているため、それらが引き継がれるのは当然だろう。写真では目立ちにくいが、今回製品でもヘッドライト周囲に銀色のリムが表現されている。

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ドクターイエローやE編成ではノーズ横のパーティングラインが目立っていたが、今回製品はB編成同様にまったくわからないものになっていて、造形的には完璧に近いように思える。

ただし、ノーズ床下部にある2つのハッチ・・・このへんはメインサイトの実車編を参考にしてほしいが、今回のプロトタイプのように先頭部連結器カバーの開口部が小さくなった編成は前方側のハッチは無いのが正解。なんでこんなことになっているのかというと、B編成(もっといえばE編成)の床下を流用しているから(床下の項で後述する)。

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左のB編成と同じく連結器カバーは小さいタイプとなるが、カバーの分割線のモールドは若干強くなった。B編成はほとんどわからないくらい弱かったので適正化されたといってよいだろう。

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前面窓のワイパーは従来通り印刷表現となるが、今回製品はなぜかワイパー形状がJR西日本仕様になってしまっている。JR東海車は左のドクターイエローの形状が正しい。従来の前面窓部品がモールド表現だったならともかく、柔軟に対応できる(しかもJR東海仕様は実績もある)ことがメリットの印刷表現なのに・・・

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乗務員室扉周辺の表現は客用扉窓が高くなった点を除けば、概ねB編成と変わらず。カトーのC編成は製品化時期が古いため雨どいが分割されたタイプだったが、今回製品は1本化されたタイプである。

青帯塗装の先端部が欠けたようになっているのはたぶん個体差(山側や16号車は普通だったので)。あと、空気ばねカバーのすぐ右にある床下の切り欠きはB編成・E編成にあったジャッキ穴用のもの。ボディからは切り欠きがなくなったものの、前述のとおり床下が流用なので残ってしまっている。

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1号車後位。こちらも客用扉窓が高くなった点を除けば、ドア点検ハッチがツライチであること、印刷されたものを含めてB編成と同じだ。

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車端部にある行先表示機は可動幌を採用している関係でガラスが入っていない。これは同じく可動幌を採用するE編成にも見られる仕様で、E編成はリニューアルで車端の客用扉窓にもガラスが入るようになったものの、行先表示機はそのままだった。700系は行先表示機の部分が少し傾斜しているためガラス入れが難しいのだと思うが、これによりステッカーを貼ることすらできなくなっており、つくづくモールド表現で良かったのでは?と思う。位置的にどうせ室内灯の光は来ないんだし。

行先表示機がガラス表現で、車端部にあって、可動幌というと700系しかない。500系以前はモールド表現、N700系は車端にないのでいずれも問題になってないし、可動幌ではないB編成は車端にもきっちりガラスは入っており、やはりこの問題は発生していない。筆者は可動幌という仕組み自体には特に悪い印象はないのだけど、700系C・E編成は仇花になってしまった感がある。

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裏からプラ板でもテープでも貼ろうかと思ったら、よりによって段差があるとは・・・一応方向幕を貼る案はないでもないが、今回の記事には時間が足りないので残念ながら保留。

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車端がこんな有様なので、中間部の行先表示・座席表示機もガラスがない・・・わけではなく、一応ガラスはあるが奥まった表現になっていて、これもE編成と同じ仕様である(B編成は客用窓と同様にツライチに近い表現になっている)。

客用扉窓には車端でもきちんと窓が入っているが、それにくらべて客用窓はやや引っ込んだ感じになっている。おそらく、客用扉窓が車端にある偶数号車はE編成用の窓ガラスパーツを流用しているのではないだろうか。奇数号車のように客用扉窓を含むパーツは新規で作ったが、流用パーツのレベルに合わせたと。まあ、これでもカトーの700系よりはかなりマシではあるんだけど。

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某巨大掲示板で話題になっていたけども・・・上の14号車と比べて、下の12号車の行先表示機はちっちゃくね?8号車も同じような感じになっていて、その大きさはB編成の行先表示機のサイズに近い。客用扉窓が高くなっていること、ジャッキの切り欠きがないことから、少なくともB編成のボディをそのまま流用した説はないと思われる。

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同じく行先表示機が小さくなっている8号車でB編成(下)と比較。大きさはやはりB編成に近いが、四隅に丸みがある点はB編成とは異なるので、一応C編成の行先表示機にしようと思ったがサイズを間違えた、という印象を受けた。早い話、エラーやポカミスの類だろう

その他の箇所では、グリーン車マークや号車番号の位置、客用扉窓高さ、ジャッキの切り欠き有無など、C編成とB編成の違いがきちんと再現されているのだが・・・

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ちなみにカトーのC編成はこんな感じ。四隅の丸さが少々足りない気もするが、サイズ的には適切だと思う。

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号車は失念したが上が行先表示機の大きさが正しい号車のボディ、下が8号車のボディで裏側の刻印が異なる。構造に特に違いはないのだが、B編成は生産終了品になっているので、ボディの一部はC編成用に金型改修したのかもれない。行先表示機の大きさの違いもそんな中で発生したんじゃね?程度にしか筆者の知見では想像できないが・・・

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B編成では控えめだった屋根上の滑り止めのモールドは結構強め。E編成よりも強い。1号車屋根上の無線アンテナの形状は差が見られない。

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車端の高圧線ジョイントはいつもの形状だが、今回は6・11号車の博多寄りにある大型ジョイントも再現している(左)。これはB編成でもカトーC編成でも再現していない部分でありポイントが高い。

4・5、8・9、12・13号車間にある傾斜型ケーブルヘッドはB編成のそれとまったく同じだった。

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3号車(左)と14号車(右)の終端処理は可動幌の関係もあってB編成のように妻面への引き込みまでは再現していないが、特に問題ないレベルだと思う。

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写真は8号車の博多寄り(ケーブルヘッドじゃない方)の滑り止め表現で、カトー(左)が2本で渡しているのに対し、トミックスの今回製品(右)は4本で渡している。トミックスは2本で渡しているのが2・3、14・15号車間だけで他は4本、カトーは先頭車と次位の車両、ケーブルヘッド部分だけが4本で他は2本という差がある。

どちらかが間違っているのかと思い手持ちの動画を調べてみたら、どうも滑り止めのパターンがN700系と同じ4本に改修されたようだ。2008年くらいの動画ではカトーのパターンだったのに対し、2011~2012年くらいの動画ではトミックスのパターンの滑り止めになっている編成が確認されており、全検のタイミングで順次改修していったのだろう。したがって、発売時期による差が出ただけであり、どちらとも正しいといえる。

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パンタグラフ本体、ガイシ覆い、遮音板がグレーである以外はB編成と全く同じ。パンタ周りの滑り止めもきちんとJR東海仕様になっており、忠実に再現されている。

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B編成ではわずかにアイボリーがかっていた感じだが、今回はピュアホワイトというか、同社のN700系製品に近い白になった。光沢はそこそこある感じで、300系さよなら仕様やE7系ほどではないけど、B編成よりはかなりある。床下のグレーの明るさの違いもきちんと再現できている(B編成の方が明るい)。

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側面の700系ロゴはB編成と同じ。

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号車番号は印刷済みだが、車番は印刷されておらずインレタで表現することになる。このあたりの事情はB編成と同じだ。収録編成はC49・51・52・54編成。700系は禁煙車の位置が変遷しているので、禁煙マークは印刷されておらずインレタ表現となる。時代ごとの禁煙車の変遷についてはメインサイトのレビューに記述があるので参考にしてほしい。前述の屋根上の滑り止めの状態からすると、忠実にやるなら2011年以降の姿と捉えるのがよいと思われ。

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ヘッドライトはきれいに点灯するがいまだにトホホな黄色LED。

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室内パーツは可動幌なのでE編成タイプになると思ったが、以外もB編成と同じ構成だった。TSカプラー固定用の穴も残っているが、可動幌はボディ側に実装されるし通電カプラーにも干渉しないので問題ないということだろう。

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前述のとおり、床下はB編成、さらに元をたどればE編成の流用が主である。ただし、一応「700系」と同一形式ではあるので、C編成とB編成の床下は基本的には同じ。違いといえばB編成(上)では横長のダクトがC編成(下)では正方形に近いものになっている程度で、ダクトの数も一致している。このあたりはメインサイトに床下の比較があるので参考にされたい。

したがって、B編成床下を流用しつつも、上記のダクト形状が異なる床下のみ新規制作して対応しているので、基本的にはC編成の床下として問題はない。ただし、先頭車は横長ダクトがないことから新規の床下が用意されず、前述のようにノーズ下のハッチ有無、ジャッキ穴の切り欠きが残ってしまったという訳。ちなみに、初出はE編成用であるためハッチの有無についてはB編成でも実車と異なっている。

メインサイトで書いたB編成の「パターン」に当てはめてみるとこんな感じに。
1号車:パターンA
2号車:新規、パターンBに相当
3:号車:パターンC 
4号車:新規、パターンBに相当
5号車:新規、パターンDに相当(動力車)
6号車:パターンC
7号車:新規、パターンBに相当
8号車:パターンE
9号車:パターンE
10号車::新規、パターンBに相当
11号車:パターンC
12号車:新規、パターンFに相当
13号車:新規、パターンDに相当(動力車)
14号車:パターンC
15号車:新規、パターンBに相当
16号車:パターンG

新規床下のうち、4号車のパターンBは前述のJR東海型ダクトが2組あるので、12号車で使用されているパターンFを使った方がダクトの位置が少し違うだけで適切だと思った。カトーは4号車が正、12号車側が代用とトミックスと逆だけどもそうなっている。

先頭車が少々惜しいものの、床下についてはまあまあやってる方だなという評価。なお、JR東海の車両とはいえドクターイエローの床下は流用されていない(できるものがない)。

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JR東海タイプの台車は通電カプラー対応のドクターイエロー用が既にあるので特に問題なく流用されている。先頭部の台車は台車カバーの干渉を避けるように両端の軸バネが省略されているが、中間部はちゃんと再現されるように作り分けている。

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B編成ではTSカプラーによる固定式の外幌だったが、今回製品は可動幌+通電カプラー(フック・U字型)という同社の標準的な仕様になった。800系のような外幌レスにならなかったのでひとまず安心。可動幌はE7系や0系0番台では四角い形状になってしまっていたが、今回はE編成、ドクターイエローのようにH型断面になった。ローリングダンパも控えめながらモールドされている。

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可動幌がH型断面になっているのはE7系等の反省から・・・という殊勝なものではなく、E編成やレールスターの可動幌がそのまま使えるし、実際使っているから、というのが実情だろう。

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連結間隔、連結部の見た目はトミックスの標準的な姿で収まっている。

●総評

トミックスには元々700系の製品は存在しているわけなので、今回のC編成も基本的にはそれらの延長線上にある製品だと思った。TSカプラーを採用したB編成はやや異端だけども、良くも悪くもガワが変わっただけといえるだろう。もともと造形とか基本的な部分は問題ないわけだし、車端の行先表示機や黄色LEDのように20年くらい前の仕様がポロリと出てしまうのだけど、他の製品(300系とか)でも古い設計のまま引きずってる製品もあるわけで、新規性を期待しすぎるのもアレだ。なので、このくらいは許容していいのかもしれない。屋根上の大型ジョイントの再現など、従来より良くなった個所もあるのだから。

一方、8・12号車の行先表示機や前面窓ワイパーの形状など、「それさえなければ」というようなポカミスが非常に残念だ。特に前者は公式の情報室でもアピールしていたC編成ならではのポイントなわけで、「部品流用で実車と異なる点があります」とはレベルが違う。「手を動かして直せ」「気にしなければいい」・・・それでもいいかもしれないが、そもそもきちんとしたものを提供できていないのだ。個人的にはミスとしか判断できないものを「仕様」だといわれても、納得できない。

今後、間違いなく「さよなら運転」仕様は発売されるだろうし、個人的にはC55編成以降や「AMBITIOUS JAPAN」仕様といったバリエーションにも期待しているが、その際には8・12号車の行先表示機は修正されることを切に望む。また、修正されたボディをテックステーション等で発売しフォローする等の対応も望みたい。全体的なクオリティが悪くないだけに、こんなところで評価を落とすのは情けないしもったいない。

●2019/6/16追記
行先表示機については、後にメーカーより正式にリコール対応が発表された。

p.s.
今回は新しいカメラ、パナソニックのコンパクト1インチセンサー機「DC-TX2」で撮影した。これまで使用していた富士フィルムのX-S1よりマクロが寄れないものの画質は明らかに上で、とりあえず模型撮りでも結構イケると判断。コンパクトなので机の上での取り回しもよい。今後のレビューはしばらくこのカメラでいってみたい。なお、X-S1は誤作動が多くなってきたので現在修理中である(連休直前に出したので手元にない)。
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友輝

Author:友輝
SpeedSphere管理人
(メインサイト(休止中))

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